北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

ノウ・フー

2008-01-19 23:08:01 | Weblog
 とある試験の話をしていて、情報管理の話になりました。

 どんな組織でもそうですが、知識や経験は一生懸命に頑張る人にどんどん集積します。すぐ隣にいても、その問題を直接担当しなければどうやって解決したのか、という工夫や知恵はなかなか伝わらないものです。

 ここでは「公開知(こうかいち)」と「暗黙知(あんもくち)」という言葉が使われます。公開知とは誰もが知っている情報ですが、暗黙知とはその人だから分かっている知恵のようなものです。実際には有用なことなのですが、はっきりとした形では外に出てこない性格のノウハウのようなものですね。

    ※    ※    ※    ※

 たとえば私の得意分野で言うと、お蕎麦を切る切り方は参考書などを読めば分かりますが、実際にそこに書いてある文章を読んだだけではなかなか上手に切れないものです。

 実際に本のように切っているところを見てもらって「あ、そこはこういう気持ちで押さえるんだよ」とか「もう少し刃をスライドした方が良いよ」などというアドバイスがもらえるととたんにうまくいくということもあるのです。これが公開知と暗黙知の違い。

 そして、そういう特定の個人に集まってしまう暗黙知をどのようにして組織全体に広げるか、ということは組織を運営する上では大変頭を悩ませるマネジメント分野です。

 特に人の多い大組織では、どこかに知恵がありそうな気がするのですがなかなかそこにたどり着かないというもどかしさがあります。

「そういうときはどのようにしたら良いのでしょうか?」と私。すると相手の方は「私たちはそういう状況に対応するためにノウ・フー情報を集めて提供するようにしています」

「ノウ・フー…ですか?それは一体?」私自身ノウ・フーなんて初めて聞きました。
「どうやってやるかの知恵をノウ・ハウっていいますよね。英語のknowhowです。その『どうやって』のhowが、『誰か』をさすwhoに置き換わった単語で、knowwho(ノウ・フー)と言うんです」

「へー、なるほど」
「細かいことは探しても出てこないけれど、この手の問題ならばあの人が詳しいようだ、という事が分かれば、その人に聞けばよいのです。だから社員の一人一人に得意分野やアドバイスできる分野のキーワードを登録させて、ネット上で検索できるようにしているんです。分からないことは知っている人に聞くのが一番良いんですよ」

 確かに、細かい悩み事にずばりと答えてくれるQ&Aはなかなかないものです。それをいつまでも探すくらいだったら、知っていそうな人に「これはどうするの?」と訊いた方が早いですもんね。

 ノウ・フーとは面白い単語でした。これからは使わせてもらうことにします。

 それにしても、自分自身がノウ・フー情報として登録できることは何かな?とりあえずは蕎麦打ちかな。それも、出張イベントも可、なんていうのは、案外求められる人材かも。

 職業のような身分に頼るのではなく、職場の名刺を使わずに「あなたは何が出来ますか?」と訊かれたときに答えられるなにかを持てれば人生はきっともっと豊かになるなあ。
コメント (1)
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