来週道北の天塩町で職員研修講師をすることになり、プレゼンテーションのためのスライドづくりをしていました。
昔つくったスライドはそれなりに使えるので、それらをベースにしつつ、掛川の生涯学習の紹介とそこから得られる『どこでも使える』エッセンスを紹介することが中心になりそう。
そんななか、(僕が仕えた当時の掛川市長榛村純一さんが述べていた『観光振興5条件』って何だったかな)と思い至り、数多くのスライドからその言葉を探しました。
榛村さんは言葉の人で、言葉遣いや新しいフレーズを生み出しては世に放つのが得意だった方。
"生涯学習"などは、そんな中で日本を動かしたキラーワードの一つだったことでしょう。
掛川での生涯学習の本来の意味は、市民一人一人が自分のこと、地域社会のことなどを自分のこととして考えるようになってもらうことで、まちづくりに繋がる概念でした。
それが文科省が法律を作ったり、生涯学習局という名前の組織を作ったことで当然のように文科省政策として考えられるようになってしまったのでした。
榛村さん自身はそのことに苦笑いしていて、「すべてのまちづくりは生涯学習をベースにして行われなくてはいけない、というのが掛川の生涯学習なのに、文科省政策みたいになって、多くの自治体では生涯学習担当者を教育委員会に置くようになってしまったのが残念だった」と後年述べていたのが印象的でした。
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さて、そんな榛村さんが、観光開発と地域振興の15条件として唱えたのが、「基本5条件」「背景5条件」そして「拡大5条件」の合計15条件でした。
なかなかスライドが見つからなくて苦労したのですがようやくみつかりました。
上記の5条件×3は以下の通り。
基本5条件 – 見・食・買・遊・美
背景5条件 – 歴史、お祭り、人、宿、夢
拡大5条件 -交通アクセス、周遊ルート、国際、学術、近者喜ぶ
なるほど、上手に分析するものです。
特に最後の「近者悦ぶ」というのは論語の「近者悦べば遠者来る」から引いた一言です。
観光の見ものや要素があれば、それが人をひきつけますが、ただそれだけではだめだと。
近くにいるものが楽しそうにして喜んでいるのを見ると、初めて遠くにいるものが関心を持って訪れてくるようになるものだ、という意味です。
まさに観光振興のキモがここにあるのではないでしょうか。
懐かしく掛川で教わったことをまた思い出すのでした。