昨日は日本建設施工機械化協会北海道支部の総会がありました。
この協会は、建設工事の機械化を進めるために施工業者、機械業者、測量業者などによって昭和25年に設立された団体です。
建設工事で機械を使うなんて今では実に当たり前のことですが、実は戦前まではそのほとんどを人力工事で行うのが当たり前でした。
そこに様々な土木工事においてバックホウやトラック、グレーダー、スクレーパーなどの建設機械が登場して施工の効率化を高め、インフラ作りが早くなった画期的な時代が昭和20年代だったのです。
北海道での道路建設史上「金字塔」と言われるのが、国道36号札幌-千歳間の道路、通称『弾丸道路』の建設でした。
札幌から千歳までの延長34.5キロメートルの舗装道路を、昭和27年10月の着工からわずか1年余りで完成させたのですが、それができたのは施工の機械化を大幅に進めたことと、それまで普通だったコンクリート舗装からアスファルト舗装への転換でした。
こうした時代の変革期ともいえる画期的な新技術の導入によって、その後の建設産業は効率的な形になり日本の建設インフラの充実が進んだと言えます。
日本建設施工機械化協会は、そうした建設業の機械化に関する様々な取り組みを行う社団法人ですが、今日の課題は建設機械の情報化というテーマです。
GPSの利用による自動制御や遠隔制御などにより省力化、省人化が進められてきていますが、これらを駆使して来るべき人口減少社会でも耐えられる建設産業に近づけなくてはなりません。
時代ごとの課題を一つずつ解決するために多くの知恵を集めたいものです。
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さて、昨日は総会終了後に基調講演として北海道大学の萩原亨先生による、「札幌市の大雪と渋滞」についての研究成果のお話を伺うことができました。
先生は、ETC2.0を積んでいる車の位置や速度などの公開情報を入手して、そこから昨シーズンの札幌の大雪によって生じた渋滞の状況を見える化する研究を行いました。
その結果、大雪で道路が狭くなって車が動けなくなる状態を交通量と実行速度の関係で明らかにするMFDという手法で図に表せるということでした。
先生は「大雪で渋滞が発生して、札幌市内では車はほとんど動けませんよ、という情報が見える形で提供されれば、渋滞混雑にわざわざ入って行こうとする車の量を減らせるのではないか。そうすれば除雪がしやすくなり渋滞解消が早まるという事が考えられ、雪国のドライバー意識を協力的になってもらうような形に繋げたい」とおっしゃいます。
ただその時のカギは、リアルタイムでの車の位置や速度に関するプローブデータをどれくらい数多く集められるかだ、とのこと。
トヨタやホンダなどの自動車メーカーは最近"コネクテッド"と称して、自社の車のプローブデータを収集できるような取り組みをしているのですが、それらは公開されていません。
利用できる数少ない情報源が国土交通省が収集しているETC2.0ですが、これもリアルタイムではなく1~2日のタイムラグがあるそうです。
様々な情報をだれもが自由に使えるような制度になれば、よりよい社会の仕組みに繋げられそうですが、まだまだそれには時間もかかりそうです。
しかしこのような研究が広く知られるようになれば、都市部での渋滞解消などにつながるという理解が進むかもしれません。
車もただ漠然と走っているのではなく、その状態をデータとして活用する新しい時代がやがて訪れるかもしれませんね。