北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

がんばれニッポン!

2006-06-10 23:23:50 | Weblog
 今日も朝から雨ですが午後からは少し止んできたようです。晴れると良いなあ。
 
【いよいよサッカーワールドカップ始まる】
 いよいよサッカーのワールドカップが始まりました。テレビもその前哨戦を盛り上げる特集を放送してくれるので、いやが上にも気持ちが高ぶってきます。

 開催第一試合がホスト国のドイツと言う事もあって大盛りあがりでしたがまずはドイツが順当に勝ちを収めて幕開けです。

 今夜も優勝候補の一角と目されるイングランド対パラグアイ戦を遅くまで見てしまいました。パラグアイ守備陣のオウンゴールによる一点だけというのは試合としては寂しいものでしたが、結果は冷酷に勝ち点の差になって現れてきます。

 いよいよ二日後に迫った日本は初戦の相手がオーストラリア。引き分けによる勝ち点1では物足りないところで、なんとしても勝ち点3をもぎ取って欲しいところです。

 他のグループの勝負の行方も気になるところで、いよいよ寝不足の日が続きそうですね。

 がんばれニッポン!
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チェーザレ・ボルジアという思想

2006-06-09 23:57:34 | Weblog
 朝から強い雨です。よさこいソーラン祭りがテレビで放映されていますが、みんな雨の中を一生懸命踊っています。
 風邪を引かなければよいけれど。
 
【チェーザレ・ボルジア】
 今やイタリアを舞台とした一番の売れっ子小説家と言えば、「ローマ人の物語」シリーズでお馴染みの塩野七生さんです。

 そして以前から読んでみたかった彼女の出世作「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」(新潮文庫)を読みました。

 チェーザレ・ボルジアという人物については日本ではあまり馴染みがありませんが、彼は15世紀末から16世紀にかけて都市国家に分かれていた今のイタリアを自分の手で統一しようと政治力と軍事力を駆使して生き抜いた一人の若者です。

 現代のイタリア共和国は、15世紀末にあっては、ローマを中心とする法王領のほかにヴェネツィア共和国、フィレンツェ共和国、ジェノヴァ共和国、ナポリ王国、シチリア王国などの他に、いくつもの公爵領があるという都市国家に分裂をしていたのでした。

 主人公のチェーザレ・ボルジアは法王アレッサンドロ6世の長男として1475年に生まれたものの、聖職者には結婚が許されていなかったためにあくまでも嫡子ではなく庶子としてこの世に生を受けたのでした。

 彼は法王の庇護の下で聖職者として枢機卿まで登り詰めながらも、その身分に我慢が出来ず聖職者としての身分を返上し、還俗したのちに法王の資産と政治力によって軍事力を手にするや、冷酷な領主としてイタリア半島を駆け巡り権謀術数の限りを尽くして都市国家を自分一人の手にしようと全身全霊を傾けたのでした。

 このときにチェーザレの包囲網にあわてふためいて対策に奔走したフィレンツェ共和国がチェーザレに送り込んだ特使の一人がフィレンツェ共和国政府書記官ニコロ・マキャベッリでした。

 後に自国に武力を持たない政府の無力と悲哀を見つめ続け、君主論を著した稀代の戦略家と言われ、後にマキャベリズムという言葉まで生み出した彼はまさにこのチェーザレと言葉を交わし、この恐るべき相手からいかにフィレンツェを守るかという事に奔走をしたのでした。

 マキャベッリが驚いたのはチェーザレが15世紀末という時期に、ある戦乱に勝利したときに「私の、そしてあなた方にとっても敵である彼らを滅ぼす事が出来て喜ばしい」と言い、そしてその後に「イタリアの災いを滅ぼしたのだ」とつぶやいた事でした。

 このときまで当時のイタリアにはフィレンツェ人やミラノ人はいてもイタリア人はいなかったのです。

 この十年後にマキャベッリは君主論のなかで明らかにチェーザレに触れた一文を書き添えて彼に対する最大の共感を表しています。マキャベッリは彼の中に「良い政治とは何か」という冷徹な何かを見出しています。

 チェーザレは1507年にわずか33歳で志半ばにして非業の死を遂げます。日本ではさながらその後約一世紀遅れて登場した織田信長の姿をそこに見るようです。

 「私役も公益に合致すればそれでよい」

 塩野七生さんに言わせれば「人は死んでもその人の考えた事と、それを実行に移したやり方は残る」「チェーザレ・ボルジアは、歴史上の人物から理論上の象徴になったのだ」ということなのでしょう。

 マキャベッリの「君主論」は、塩野七生さんの「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅な冷酷」を読むことでその味わいが倍加するのです。


    *   *   *   * 

 なお、チェーザレ・ボルジアはその絶頂期に置いてあの天才レオナルド・ダ・ヴィンチの訪問を受け、レオナルドのためにチェーザレの両国内において「あらゆる地域の自由通行と、彼に対する好意的応対を命ずる」という布告を発しています。そしてこの後一年間にわたりレオナルドはチェーザレ領国内の建築技術総監督として都市作りに励んだのでした。

 まさに天才と天才の出会いがここにあったのです。

 中世イタリアもなかなかに面白い
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顔の見えないボランティア

2006-06-08 23:56:36 | Weblog
 今日もどんよりとした一日です。週末もどうもお天気が芳しくなさそうです。
 せっかくのよさこいソーラン祭りなのですが。
 
【顔の見えないボランティア】
 わが家の近くには立派な血液センターがあるので、思い立ったときに健康管理の面からも献血をするようにしています。

 昔は400mlが中心でしたが、最近では成分献血をお願いされる事が多いのでそちらが中心になってきました。

 しかし私の回りにも、海外で肝炎のウィルスにかかってしまった、とかある時期にイギリスにいて狂牛病の可能性があるから、といった理由で献血が出来ない人たちが何人もいます。

 献血も健康体でなければ出来ないボランティアである事を思うと、健康な自分に感謝したいと思うのです。

 献血が面白いのは、お互いに相手が見えないボランティアであると言う事です。私が目の前の誰かを助けるのではなく、社会を仲介として誰かが誰かを助けるということなのです。

 そこでは提供者の健康を損なう事のないような慎重な医療システムとIT情報がその社会システムを支えています。このような高度な社会システムを成立させている社会そのものも制度という私たちの貴重な財産なのです。

 最近の若者が「痛いから」といった理由で献血に行かない、という報道が以前になされましたが、社会の一員として生きるということの大事さをもっと伝えて行かなくてはなりませんね。

 一部には献血センターでメイドに扮した女性が対応してくれるところもでたとか。そういう話を聞くと、なんだか本質が歪められてしまって数だけ集めれば何でもありになりつつあります。

 そこに品があるかどうか、という視点を加えることが必要です。正しいという条件はもちろんですが、そのうえに美しいかどうかを求める社会でありたいものですね。

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氷、がんばれー!

2006-06-07 23:30:27 | Weblog
 ライラックの花が満開の今日この頃。まちを歩いているとその花の香りが漂って、北海道の初夏を感じさせます。
 いよいよ明日からはよさこいソーラン祭りです。暑い熱気が市内を駆け巡りますよ。
 
【氷、がんばれ!】
 東京の某テレビ局から雪氷輸送プロジェクトについて取材をしたいという申し入れがありました。

 雪氷輸送は、北海道の氷を夏まで保存してこれを空で泣く泣く東京へ帰るトラックに乗せて運び、東京を冷やしてやろうという、環境と物流を組み合わせたプロジェクトなのです。

 担当のディレクターを新千歳空港で拾って一緒に苫東の現場へと向かい車中でいろいろとお話を聴きました。

 東京からの取材ということで、そろそろ暑くなる時期を迎えて環境面に関する関心事なのかな、と思ったところ、どうも切り口が少し違うようです。

「今回は氷そのものに注目したいのです。北海道の氷が東京を冷やすというのは言葉では分かりますが、実際にこうして北海道で氷を残すという実験がされていて、この氷が現実に東京に運ばれて来るという過程が面白いと思いました」

「そんなのが面白いのですか」
「面白いですよ!出来れば氷を作るときから私たちの番組のマークか何かを氷の中に入れて一緒に氷にして欲しかったくらいですよ。それを切り出して東京へ運ぶときにカメラが『あ、今私たちの氷君が出てきました!いよいよこれから東京へと運ばれます』というかたちでスタートするんです」

「氷も冷凍車ではなく、普通のトラックで運びますからね」
「そうなんです。最初はしゃんとしていた氷が、運ばれている途中で少しずつ溶けてきたりしてへたってくるあたりもずっとカメラが追いかけていくんです。『氷!がんばれー』という思いになるのじゃないですか。そしてそれが最後には東京の実験場のビルに運ばれてそのビルを冷やすというわけです。視聴者が氷にどれだけ感情移入出来るのかという点で、面白い映像になると思いますよ」

「うーん、なるほど」

 今回の雪氷輸送の実証実験をこうした形で捉えられるとは思っていなかったので非常に面白い視点だと思いました。

 さて現場の氷はと言うと、断熱材でしっかりと覆われているところはまだちゃんと残っているのですが、シートで覆う事を中心としたものの中には風でシートがめくれてそこから風が入る事で融けてしまうものもありました。

 やはり強い風も氷の保存のためには大敵のようです。

 さて今月末にはそろそろ氷を切り出して運ぶ実験も始まります。まさに氷がんばれー、ですね。
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北海道観光への提言

2006-06-06 23:31:25 | Weblog
 クールビズで通勤をするようになりましたが、なかなか気温は上がりません。上着無しではとっても寒くて外にいられません。
 早く暖かくなって欲しいものですが。
 
【北海道の観光について】
 東大名誉教授で国土計画の第一人者であるM先生が来道されたというので、若手で意見交換会をお願いしたところ快諾していただき、高名なM先生と直接のお話をする機会を得られたのでした。

 今日の話題は「北海道の観光をどう振興するか」ということでした。

 先生はかつて若かりし頃、日本中をブロックに分けてブロックごとの観光振興計画を作り、差別化とルート化を検討したことがあったのだそうです。

 そのときの九州観光と言えば、宮崎、鹿児島が来訪のトップで福岡が最低だったのですが、今やトップは福岡で宮崎が最低となるなど観光の主流が都市観光に変わってしまったのだといいます。まさに、交通と魅力づくりの差なのでしょう。
 
 先生に北海道における魅力づくりをどうしたら良いと思われるかを尋ねてみました。すると
「いかに道内の地域差を差別化するか、ということではないでしょうか」という答えが返ってきました。

「一番差別化を上手に行っているのは京都でしょうね。京都では『清水と嵯峨野は違う』と言っていて、京都の中にそれぞれ異なる京都があるのです。あの狭いところでそんなことを平気でやっているということが差別化なのではないでしょうか」
「なるほど、それはすごいですね」

「北海道を考えてご覧なさい。阿寒湖と摩周湖と洞爺湖はどう差別化されていますか?それを具体化することが大事なのです。もっともっと、他の地域にはない私だけのところの何かを差別化して切り出して行くことが大事でしょうね」
「他にはいかがですか」

「もう一つは物語性をどう作るか、伝えて行くか、ということでしょうか。北海道を舞台にした映画などもたくさんあると思いますが、それらは常に流して伝えていないと忘れられてしまうものです。外国では『健全な競争』と『頑張ったところの情報提供をする』ということをセットで行って振興を支えているところもあります」

 先生によると、いよいよ大量定年に入った団塊の世代は旅行先として、案外外国よりも国内に目が向いているのだとか。そのためあと10年は国内旅行は下支えがされるだろうとおっしゃいます。

「その先は山登りもしなければスキーもしない世代が登場します。温泉はなんとかもつと思いますが、その先が課題ですね」とも。
 
 北海道はもっと地域間の競争があって良いし、それぞれの地域がますます自分らしさを先鋭化して他にはない自分を強調して売り出すような至誠が求められるのです。

「北海道はもっとさらに安全な食材を作って下さい。自分たちの回りにはもう歳を取って、安くて危ないものは食べたくないという年寄りが実に多いのです。しかしその人達のなかには、『北海道は本当に無農薬で安心できるものは自分たちだけで食べて、東京には農薬を使ったものを出している』と思っている人もいますよ」

 うーん、都会の人達の北海道に対する信頼も鍵なのかも知れませんね。信頼は構築するのに長い時間がかかります。じっくり腰を据えて取りかかりましょう。

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柔道の心~山下泰裕さんの言葉から

2006-06-05 23:29:21 | Weblog
 昨日までの富士会議では、柔道の山下泰裕さんとたくさんお話しをすることが出来たのですが、今日は書き足りなかったことを記しておくことにします。
 
【柔道の心とは】
 昨日は、山下さんが「自分は我慢が嫌いです」とおっしゃった話を書きましたが、山下さんの柔道に対する思いや生き方には本当に感じることが多くありましたので、改めてご紹介をします。

 山下さんは、現役として20年、指導者として20年を柔道に関わって来ているのだそうです。そんな山下さんは現在日本ナショナルチームの監督に就任されて、年間100日間以上、海外で柔道を教えているのです。

 山下さんは柔道を指導することで日本の文化を教えているのだと言います。そしてその先には日本に対する信頼を得たいという気持ちがあるのだそうです。

「山下さんにとって柔道の心とは何ですか?」
「それは『礼』です。相手は敵ではありません。相手がいるからこそ自分も高められる。だから試合の最中は全力を尽くして相手を倒そうとするけれど、試合が終われば一礼をして相手に感謝をするのです。そしてもう一つのことは、柔道が『道』であるということです。柔道で磨いた自分を人生で活かして行くことです。私は柔道を外国へ教えることは異文化交流だと思っています。そこで友好と親善が図られるのです」

「外国で柔道を指導すると感謝をされるのではありませんか」と訊いてみました。すると
「私は日本人指導者にもっと外国へ行って欲しいのですが、なかなか行きたがる人が少ないというのが実態です。そのうえ、外国で指導する人の中には現地の事情をあまり考えずに、日本流の教えをひたすら押しつけてしまうタイプの人もいるのです」

「それではいけないのですか?」
「柔道にもロシアスタイルやフランススタイルなどがあって、日本スタイルだけが好まれているわけではありません。そこを分かった上で、現地の人達のレベルが向上するように見守って行くのが正しい指導方法だと思います。その点で傲慢だと思われることも多かったのです」

    ※    ※    ※    ※

 実は山下さんが監督に就任される前の国際大会では、試合は敵をやっつけるもので、負けたらそれで終わりだという雰囲気が漂っていたのだそうです。そのため、団体戦で負けたりしたら「ああ、終わった、帰るぞ!」と、大会を最後まで見ることなく会場を後にすることもあったのだそうです。

 山下監督はまずそれを変えさせました。「負けても最後まで残って、敢闘した相手を讃えようではないか」それが礼の道だ、ということです。

「監督になって最初に頼まれたことは、世界中のコーチのマナーが悪いのでそれを改善してくれ、ということでした。大会で、コーチも指導・退場させなければもうやれない、と言う話まで出たくらいです」
「それをどうやって実行したのですか?」

「私には40年の柔道活動を通じて、世界中に知人と知り合いがいます。マナーの悪さで有名なブラックリストに載っているコーチを一人ひとり訪ねて、直接話をすることでマナーをお互いに改善して行こうと説得しました」
「成果はいかがでしたか」

「私の前のシドニーオリンピックは最低だったのですが、アテネオリンピックは最高の大会になりましたよ」


「篠原選手とドゥイエ選手の疑惑の判定はどう思われましたか?」
「今思えば、篠原本人が試合を止めて判定を問いただすという事があったかも知れないと思いますが、それをやっていたら、日本の大会でも選手が試合を止めて審判にクレームとつけるということが起きたでしょう」

「篠原選手はどうだったのですか?」
「彼は試合で負けた後にコメントを求められて『自分が弱いから負けました』と言いました。その言い方に批判をする人や共感をして下さる人、それぞれたくさんいました。実はあの判定で『技あり』が相手に与えられた時点で残り時間が3分30秒あったんです。彼が言いたかったのは、自分が本当に強ければ残り時間で何とかすることが出来たはずだ、ということでした。しかし彼はあの技が決まった瞬間、勝ったと思ったのです。それが相手への得点になってしまった。そのときに、彼は残りの時間の中で自分の気持ちを切り替えて勝つことが出来なかった。そのことをして彼は『自分が弱かったから負けた』と表現したのです」

 ここにも表現と自己主張が苦手な日本人なのではなく、一つの日本人の品格を見ることが出来るような気がします。

 実は世界に伝えたいのはこの考え方の中にある品性や品格だと思うのです。

 あなたにとっての品格とはなんですか?

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日本の品格とは

2006-06-04 23:46:48 | Weblog
 富士会議の二日目です。今日は分科会ごとに討論が行われます。テーマは「二本の品格」です。どんな意見が出るでしょうか。
 
【日本の品格】
 昨日川勝先生の講演の中で、「品格とは心が形に表れるものではないか」という示唆をいただきました。

 そこでどのようなことに「心が形に表れているのか」ということを議論しました。…といっても、論客ばかりなのでそのことだけに話が集中するわけではなく、メンバーそれぞれの分野で好き勝手なことを言い合う中で、心が形に表れているものを探り出して行く作業となりました。

 日本人の祖先崇拝やアニミズムなどは漠然と生きている価値観だ、という話がある一方で、その精神性が崩れている例も多いのです。

 「給食費を払っているのだから、『いただきます』なんて言わなくていいのよ、お礼なんて言うこと無いんだから」と子供に言い放つ親もいるとか。いやはや、ここまできたのでしょうか。

 私は「品格を求める求め方は多種多様にあるけれど、それらを一言で言うと『徳目』ということになるのではないでしょうか。そしてそれらは極めて具体的で、誠実に生きろとか、分をわきまえろとか、盗むな、というように具体的な価値観に裏付けられた行動を求めると言うことではないでしょうか」と言って、一定の賛同を得られました。

 また、品の良さや徳目にはどこか「我慢する」という要素があるようにも思いました。メンバーの一人はクリスチャンでしたが「シスターから『忍耐』ということを強く言われます」と賛同してくれましたが。

 しかしメンバーの一人であった柔道家の山下泰裕さんは、「実は私は努力の人と思われているかも知れませんが、私は我慢が嫌いです」と言いました。
「我慢して、いやいやするのではなくて、自律、セルフ・コントロールという事だと思っているのです」という表現をされました。

 これもある種の品格なのでしょう。

    ※    ※    ※    ※

 次に外から見た日本の品格について意見が交わされました。

 南米に日系移民の三世として生まれ、20年前に日本に留学して以来日本に住み着いてしまったというAさんは、「私達は一世から日本の心を伝えられて育ちました。一世からは、誠実に、勤労で、真面目に生きて、嘘をつくな、盗むな、と教えられました。この教えは移民として苦労した一世が南米で生きて行く知恵だったかも知れませんが、今日そのお陰で、日本人だというだけで信用されているのです」と熱いメッセージが寄せられました。

「こんなに正直者が多くて、安心できて、社会のインフラや制度が整っていて、落書きもしないし、皆倫理観を持って暮らしています。こんな国は世界中にありませんよ、なんでもっと自信をもたないのですか」とも。きづかなかったことですが、ありがたいことです。

 また、ハワイのホノルルには日系二世が作った日本文化センターがあるそうです。ここには「おかげさまで」とか「ありがとう」と刻まれた石碑があって、開拓移民一世の心を失うまいとする二世の気持ちが表れています。

 まだまだ残っている日本の品格を共有し伝えて行くには、自分たちが信じる価値観について、声を上げて伝えて行く事が大事なのではないでしょうか。最近の教育では「押しつけになっては行けない」ということを良く聞きますが、自分の価値観を自分の関わる範囲で伝える努力は大事な事でしょう。

 日本の品格というと難しいのですが、まずは一人一人が自分を律して自分の回りに対して伝えるところから始めよう、というのが我が分科会の結論でした。

 そういうことを思うだけでも自分が変われそうな気がしませんか。

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次代のリーダー集合~「富士会議」に出席する

2006-06-03 23:06:47 | Weblog
 今日は朝から伊豆の天城へと向かいました。どんな人たちと会えるのかが楽しみなのです。いざレッツゴー!
 

【いざ富士会議へ】
 今日から二日間にわたって、伊豆半島の天城で「富士会議」に参加するのです。

 この富士会議は、某外資系大手IT企業の主催によるもので、30代から40代までの次の時代のリーダーになりうる人材を一堂に集めて、年々に変わるテーマで意見交換をし、その時間を通じて互いが知り合いになって行く、出会いの化学反応を期待しているというものです。

 私自身は、昨年まで掛川から参加していたHさんという先進的農業経営者が年齢によってこの会議を卒業するというので、その紹介を受けて一応の審査にも合格して今年から参加させてもらったのでした。

 今回は全部で45名で、そのうち11名が今年からの参加という状況でしたが、参加者の名簿を見ると、なるほどそうそうたる人たちがいて、気後れしそうです。

 オリンピックの金メダリストがいたり、若い某県の県知事さんもいます。マスコミの方から若手官僚、有名大学の教授、会社の社長さん、若手起業家、大手企業のエリート…などなどで、これだけの多士済々に同じ場所で一気に会える機会というのはそう多くはないでしょうから、せいぜい友人、知人を増やしたいと気持ちが高ぶってきました。

 伊豆急の伊東駅に集合して、そこからは主催者のバスで研修所までの移動ですが、バスの中でももう名刺交換と挨拶が始まりました。なにしろ皆さんここで知人を増やす事を目的にしている方達ばかりなのですから話が早いわけです。

 研修所はちょっとしたホテル並みの施設で、伊豆ですからもちろん温泉付き。それに公務員以外は基本的には会社からの招待という形なのでおもてなしも一流です。公務員の場合は倫理法があるので一定額が追って請求されてくるのですが、こんな人たちとならいくら払っても良い、という感じです。

    *   *   *   * 

 昼食後のオリエンテーションと今回のテーマの趣旨説明を終えたところでまずは話題提供的に基調講演をいただきました。今日の講師はなんと国際文化研究センターの川勝平太先生でした。

 先生も交えた席で新人参加者の自己紹介がありましたが、川勝先生も私がいたのに驚いたようで、一瞬目があって微笑んでくれたのは嬉しかったです。

 今回のこの会議のテーマは「日本(にっぽん)の品格」ということで、川勝先生からはそのお題に沿った形でご講演をいただきました。

 まず話題は明治期の先人達の苦労談から。「福沢諭吉は、国家の独立は一心の独立にあり、一心の独立は学問にあり、として学問のススメを書きました。この学問のススメには日本中が共感をしたんですねぇ、丁度藤原さんの『国家の品格』と同じかも知れませんね」

「社会が中世から成熟してくる過程で、世の中の価値観は真偽→善悪と移ってきましたがそろそろこれが『美しいか美しくないか』ということに映ってくるのだと思っているのです」

「現代が少子化で大変だ、と言いますが、実は日本はこれまで過去二回人口が増えない時代を経験しているんです。それは平安時代と江戸時代です。一見世の中の戦乱が終わりを告げて平和と安定の時代になったようですが、実はそのときというのは女性が意見をどうどうと言える時代だったのです。現代も女性の意志が働いて少子化になっていると思いますが、女性の意志が働きつつ子育てが出来るような社会にしなくてはならないと思います」とは歴史学者的な少子化の分析です。

「品格でいうと、明治革命は小競り合いはあったものの実質的には無血革命でした。あれだけの体制の変革を内戦にせずに同胞の血を流すことなく成し遂げたというのは、ひとえに武士に倫理観があったからだと言えるでしょう。17世紀にそれまでの『武人』が『武士』になりました。そこから生まれた倫理性に品格を感じませんか」

 先生の話は面白すぎて、ブログのネタにするととても書ききれません。良い話と刺激的な参加者達の経験や思いの数々。

 質の高い意見交換の続きはまた明日 … (つづく)

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出会いとなだれ込みが生活を変える

2006-06-02 23:21:13 | Weblog
 朝から掛川へ向かいました。今回は明日から伊豆の天城で開かれる懇談会に参加するのが目的なのですが、その前日を使っての掛川訪問です。
 

【ライフスタイルデザインカレッジ】
 この4月からNPO法人スローライフ掛川では、ライフスタイルデザインカレッジという講義と実践をおこなうスクールを始めました。

 これはベーシックと呼ばれる、講義を中心に様々な分野の人からのお話を聞くというものと、フライフィッシングやカヤック、有機農業などのスローライフを実践することで自分のライフスタイルに刺激を与えることで、生活を変えて行こうという二つのコースを用意しています。

 このうち今回私は、このベーシックに相当する部分の講義の講師として「出会いとなだれ込みが生活を変える」というタイトルでお話しをすることにしたものです。

 掛川に着いてからはまずは榛村前市長をお訪ねしてご挨拶とご機嫌を伺いに行ったのですが、ご本人は至って健やかで、週に一度千葉の市川市にある大学でまちづくりの講義をされているとのことでした。

「1時間半の講義なのだけれど、200人も受講者が集まってしまうと、どうしてもあちらこちらで私語が始まってしまってこれが大変なんだよ」と苦笑いをしていました。

「なにか気持ちを引きつけるような冗談を言うというテクニックも必要ですね」と言うと、「そうなんだけど、冗談のところは注目して聞いていても、今度はその冗談をネタにして私語が始まっちゃうんだよ」とか。
 まちづくりと言っても、実感を伴わない若者達の興味を引き続けるのはなかなか大変なようですが、ご活躍をお祈りします。

    ※    ※    ※    ※

 夜は市内のホテルで講義なのですが、今回は講演を聴くと言うよりも「私の顔を見たい」という方も多く参加して下さったようで、120人ほどが集まってくれました。

 市議会議員さん達をはじめ、市内でお世話になった方も多ければ、市役所や蕎麦打ちの仲間たち、果ては袋井や御前崎などの隣町からも友人、知人がたくさん来て下さって、講演よりも講演が始まる前の近況報告や挨拶の方が皆さん楽しみだったようです。

「出会いとなだれ込みが生活を変える」というのは、私が「会う」だけではなくその先に自分の人生観が変わってしまうような人や事柄と会うことを「出会い」と、区別して使っているということを述べて、そのような出会いを求めたいものだ、というお話しでした。

 自分の今までの人生の中には、必ず誰か「あの人と会わなければ今の自分はなかった」という先生や友人、知人がいるものです。その時には気付かなくても、なにか運命的なものに導かれるようにして出会ってしまうこともあるでしょう。

 そんな出会いも、雇われ助役の私のように期間限定での勤務だからこそ、より熱心にやれたのだ、という気もします。しかしそれならばこそ、転勤による強制的な限定以上に、自分自身の故郷の生活の中に期間を限定して積極的に物事に挑戦したり人に会ってみるというより強い意志を持つ方が良いのだと思います。

 私は最後は人を紹介されるような会合へは「誘われたら断らない」という風にして生きてみましたが、やはりそれなりの人が「互いに会わせてみたい」と思って暮れるような人とは良い出会いの数々がありました。

 同じ町に長くいると色々なものが見えすぎたり、見えなくなったりするどちらかに傾くものです。敢えてそんな自分の目がゆがんだフィルターを通して世の中を見ているということを意識して見る視点も必要に思うのです。

 少しの勇気を出して、人に会うということをお勧めしますよ。

    ※    ※    ※    ※

 講演の後は参加者の皆さんとの交流会。こちらの方がメインのような気もしましたが…。

 懐かしい顔、顔、顔の数々で、昔話に花が咲きました。また、今までブログ上でしか知らなかった方達とも初めて直接お話が出来ました。
 
 会うことなくブログだけを読んでいると、年齢が分からないものですね。

 夜遅くまで付き合ってくれた皆さん、そして今回の講演を支えてくれたNPOの皆さん、ありがとうございました。
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榛村さんの教え~事を起こすには

2006-06-01 23:47:11 | Weblog
 今日から6月。気温が低めで窓を開けると寒い風が入ってきますが、官庁ではクールビズの解禁でスーツにネクタイからしばらくお別れです。

 気付くといつの間にかシラカバの花粉症ともお別れのよう。リラの花がシラカバを追い出したようです。 
 
【事を起こすには】
 北海道を花の島にしようという道民運動がガーデン(G)・アイランド(I)・北海道(H)、通称GIHです。

 今日はその会合の役員会が開催されて、昨年度までの活動や決算状況の報告・承認と今年度の活動の方向が議論されました。

 このGIHでは、道内の庭や庭園、公園などを募って、それぞれが花を活かした場所づくり、地域作りを行い、さらにはこれらを連携する事でツーリングや新たな産業、ビジネスに結びつける可能性もあると考えているのです。

 しかし残念ながら思いは強くとも、しっかりとした事務局がもてずに事務局を担ってくださっている人たちにもこのことだけに割く時間が不足して力が出せずにいるのです。

 以前、掛川の知人から「榛村前市長を訪ねたときに、事を起こすときに大事な事というのを教えてもらいました。心に残ったので送ります」と、榛村さんの言葉をメールで送ってくれた事がありました。

 それには、

『コトを興して活動していくには5つの大切な要素がある。
 1つ目にお金・・先立つ物、軍資金
 2つ目に事務局・・優秀さを求められる
 3つ目に舞台・・活躍する場、発表の機会
 4つ目は出し物・・何を中心に集まるのか、旗印や理念
 5つ目はサポーター・・入れ込み具合はそれぞれだけど応援したり興味を持ってくれる人達。

 この5つの要素が相互に高め合って年々、段々と充実させていくことが大切。また、どれが欠けてもいけないけれど特に1のお金・2の事務局・5のサポーターは重要である。』とありました。

 まさに何かをなそうとするときのお金の重要さや、活動のコアとなる事務局の大切さが身にしみる今日この頃です。特に日本では、江戸時代からの儒教の影響で、お金を必要とする事を卑しい事だとか、見下げるような風潮があります。

 事を起こすために必要な事を冷徹な目で冷静に見る目が必要です。


 さて、明日から静岡県を訪ねてちょっとした会合に出席してきます。明日の夜は掛川で大勢の人に会う事になっています。ぜひともその前には榛村さんをお訪ねして再び人生の教えに触れたいと思います。

 もしかしたらブログへの記載が遅れるかも知れませんがご容赦ください。
 
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