宮本輝著「ひとたびはポプラに臥す」全6巻。1997年~2000年刊
穂高図書館に感謝
著者が20歳代に知った鳩磨羅什を20年後にたどるシルクロード6400キロ40日間の紀行文である。富山県の北日本新聞の連載だったもの。カメラマン同行なので、挿入の写真が素晴らしい。
旅程は中国西安→トルファン→タクラマカン砂漠を通過→カシュガル→クンジュラブ峠→フンザ→ガンダーラへ。新聞社記者、同カメラマン、秘書、息子、中国側旅行社ガイド、パキスタン側旅行社ガイドの過酷な旅模様と、氏の中国政府(漢族=役人や警察官)に対する率直な疑問と批判。10余年前といささかも国情が変わらないと思われる、漢族のための北京オリンピック関連のニュースと並行して興味深かった。
結局、鳩磨羅什については期待したほどの情報や成果は得られなかったが、同じ道をたどった達成感と、新疆ウイグル自治区やフンザへの思いの深さは、十分に伝わった。
旅の中で、身にも心にもオアシスとなるポプラの葉を揺らす風が吹き抜ける。そしてポプラの木陰に休息する。
アメリカ南北戦争のリー将軍の口癖だったといわれる言葉も登場させる。『河を渡って木立の中へ』この難儀を過ぎればアオシスがあるだろうと・・・
今の日本の閉塞感と重なるね。きっと明日は。。。。
以下2枚の写真は、6月下旬のカラコルム・ハイウエイ旅行の写真から
情景を想像しながら、一気に読み進められた。
第6巻のフンザを読み終えた時「もう一度行きたいよ~病」に罹る
この本で初めて訳経僧『鳩磨羅什』を知った。
我々には玄奘三蔵(薬師寺HPから)が馴染みだが、鳩磨羅什(広済寺HPから)はそれより250年前の僧である。
とほほ
建物の構造の問題なのか?本が古くて各ページの文字がやけたように薄くなっているので、読むのがしんどかった。
ところで
ポプラは耐寒性のある樹木だが、近所では見かけない。信州にもあるのだろうか?
関係の森林センターに聞くと、「在来の山にはないが、公園に植樹しているところはあります。善光寺の北側の公園で見たことがあります」とのことだった。