星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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2001年そして2002年の12月22日

2005-12-23 | 映画にまつわるあれこれ
おとといの晩、ふと思い出した。
4年前の12月23日(だったと思う…)
友人と会って、私はThe Clash の Sandinista! のCD盤(かつてのLPは実家に置いて来た)を買って、スターバックスカフェでお喋りをして、皆で新宿南口に向った。その時、電光板にニュースが流れていて、ジャック・マイヨールの自殺を伝えていた。何故…?と足が止まった。

そのちょうど1年後、、
ジャック・マイヨールと同じ日〈22日)に、ジョー・ストラマーが突然死んだ。やっぱり何故…?と、思うしかなかった。

先日見た映画DVDに、たまたまジャン・マルク・バールが出ていたからかな、、それともノアの方舟を追う〈泳ぐ男〉の物語を読んだせいかな、、それともマイヨールとストラマーの命日を不意に思い出したせいかな、、。マイヨールの自殺について兄のピエールが書いた本、『マイヨール、イルカと海へ還る』を彼の命日に読むことにした。

『グラン・ブルー』(私が見た当時はグレート・ブルーだった)は忘れられない映画だし、ベッソン監督作品や、音楽のエリック・セラが好きな人とその頃、不思議とめぐり会ったりした。まだイルカや鯨の癒しブームみたいなものが始まる前だった。海へ還ろうとする(彼にとっては『還る』としか言いようがないんだと思う)主人公に、ロザンナ・アークウェット扮する女性が「I'm here! I'm real!」と訴える場面はずっと記憶に残っている。あの場面は、この前書いたような男と女の認識の相違を一瞬で見せてくれた場面だった。
・・・だから、というか、、、『ブルー』に嵌った人間としたら誰だってきっと「どうして首つりなんて、、」と思ったのではないだろうか、、。

いつか、この本を読んでみたいと思っていて、ふと思い出したので一日で全部読んだ。・・・自殺の真相、、、は、、イルカ人間ジャック・マイヨールであるがゆえのものでは、、どうも無かった。。別の読み方もあるかもしれないけれど、私には、あくまで鬱病が引き起こした病的な自死でしかないように思えた。だから例えば入院治療をしていればもしや免れたかもしれない死だとも思える。・・・ただ、その鬱症状を引き起こしたのは、水棲できる人間というのをジャックが余りに強く求めた事と、映画がもたらした影響と現実の重さ、、だったのだろう。

あの映画の後、グランブルー症候群みたいな人たちが本当に沢山いた。
そのことを考えれば、ジャックが映画のようにイルカに導かれて海底へ旅立ったのではなく、首をつったという事実に向き合うことは大切かもしれない。読み終えて、とても虚しさは残るには残ったけれど、でもけじめはついた気がした。寝る前にはもちろん「Sandinista!」を聴いた。ジョーの命は少し短すぎたけど、でもジョー・ストラマーは最後まで生き切った。
これですっきりとクリスマスが迎えられる。