同じ園子温監督の「自殺サークル」の続編ということで、54人の女子高生が新宿駅のホームから飛び降りて一度に自殺するシーンが唐突に出て来てこれがあとの展開にどう絡むのかと思うと、ストーリーが始まる前の前提ということらしくて、あまり発展はしない。
長尺だが、各章でそれぞれ違う人物の主観とナレーションで運ぶ工夫をしていて、描写が時間的に前後するだけでなくさまざまな視点を多角的に行き来するのが面白く飽きさせず、大きな物語のうねりにも富んでいる。
殺し場に「バラが咲いた」の歌が流れる対位法的効果。
レンタル家族という荒唐無稽のようでありそうなモチーフ。
いったん崩壊した家族がぐるっと迂回して「芝居」の場で再現される面白さ。
吹石一恵が大きな身体を生かした映画向きの風情と繊細な感情表現の両方を出した。
(☆☆☆★)