「40回も断られた」末のクライマックスの舞台上のプロポーズで、彼女がイエスと言ってやっとわーっとなるまで観客のリアクションがろくに入っていないというのは「人間の証明」じゃあるまいし、ずいぶんな手落ち。主役二人が吹き替えなしというのはアメリカ映画としてはむしろ当然だけれど、演出はコンサートの観客の反応のライブ感に無頓着。
他に仲の悪い父親との関係がどうなったのか、「刑務所」がどんな意味を持つのか、といった大事なところが曖昧だったりで、なんだかシマらない。
「コップランド」もそうだけれど、この監督(ジェームズ・マンゴールド)、題材選びとキャスティングの段階で安心してしまっているのではないか。
(☆☆☆)