オダギリジョー主演でキム・ギドク監督・脚本というのが興味で見たのだが、驚いたことに周囲は韓国語でオダギリジョー一人だけ日本語のセリフで、それでどういうわけか話が通じてしまう。なんだこりゃ。
彼の夢の中の出来事が見ず知らずの女のイ・ナヨンの現実となって現れるという趣向で、彼女の起こした交通事故が、実は夢の中で自分が起こしたものだから彼女は無実だと主張するのだが、それで警察が納得するわけがないし、観客のこっちも納得できない。
「現実」がすでに夢の中の出来事のような様相を呈しているという表現のつもりか知らないが、あまりにひとりよがり。
イ・ナヨンのつけている蝶のペンダントは、胡蝶の夢のつもりだろうが、だからなんだという気分になる。ギドク氏、前作の「ブレス」もそうだが、いささか思いつき先行でリアリティ無視が過ぎる。
(☆☆★★)