prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウディ・アレンの夢と犯罪」

2010年03月29日 | 映画
イアン・マクレガーの恋人の女優(ハーリー・アトウェル)が、ギリシャ悲劇で何が好きと聞かれて「メディア」と答えたあと、「クリュタイムネストラはやりがいのある役」とか言うのだけれど、クリュタイムネストラが出てくるのは「イフゲニア」や「エレクトラ」で、「メディア」は関係ない。知ったかぶりしているのではないか。
「役とるためなら監督と寝るかい」と聞いて、役と監督によるといやに計算高い答えをするので「いやな答えだ」と言うと、「いやな問いね」と言い返す。上昇志向が強くて、インテリぶっているという点ではアニー・ホールとタイプは近くて、もっと可愛げがない。
いかにも男を破滅に導く悪女タイプではないところが、なんか意地悪い。

原題のCassandra's dreamのカッサンドラというのは、ギリシャ悲劇「トロイヤの女たち」などに出てくる女予言者で、必ず予言は当たるのだが、誰もそれを信じないよう神に定められたため、悪いことが起こるのがわかっていても防ぐことはできないというキャラクター。なんか、この映画のこれは必ず悪い方に行くぞとわかっていても後戻りできない展開(ギリシャ悲劇的というと大袈裟だが)を予告しているみたい。

クライマックスのカタストロフが、ちょっと駆け足気味で十分な余韻がないのは惜しい。
(☆☆☆★)


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