タイトルは「暴れん坊将軍」シリーズみたいだけれど、近松門左衛門の「丹波与作待夜(まつよ) 小室節」の十段目「滋野井(重の井)の子別れ」の映画化。といっても、相当にストーリーの重点は変わっているように思える。タイトルには原案・平田兼三、脚色・依田義賢と出るが、どういう分担なのか。平田兼三は前進座の初代市川祥之助の父親。
元の話は、不義の子ということで引き離されていた実の母・重乃井=山田五十鈴と息子・三吉=植木基晴が再会するが、政略結婚を控えた姫の前とあっては親子の名乗りをあげるわけにいかず親子の情と忠義に引き裂かれるのが見せ場、のはずなのだけれど、映画は不義の相手の与作(佐野周二)の登場から始まり、前半は与作と三吉(本名は与之助)が初めは実の父子と知らずに道中をともにするところからずうっと父と息子の話に寄っている。
もともと子役の芝居が見せ場になるのだが、内田吐夢が「血槍富士」以来ずっと使っている植木基晴が三吉役。今の感覚で言うと声の調子も芝居もオクターブ高すぎるように思える。
三吉が母親のところから短刀を盗み馬方の頭領(進藤英太郎)に売り飛ばすあたりから話がこじれて、与作が頭領を殺してしまう悲劇の盛り上がりは内田吐夢監督らしい重量感のある描写が見られるけれど、そのあとがさらに悲劇がエスカレートするのに決定的な切腹シーンがとんでいる省略にはちょっと戸惑う。
画面のつかみ方の大きさは内田吐夢らしい。

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暴れん坊街道@ぴあ映画生活
元の話は、不義の子ということで引き離されていた実の母・重乃井=山田五十鈴と息子・三吉=植木基晴が再会するが、政略結婚を控えた姫の前とあっては親子の名乗りをあげるわけにいかず親子の情と忠義に引き裂かれるのが見せ場、のはずなのだけれど、映画は不義の相手の与作(佐野周二)の登場から始まり、前半は与作と三吉(本名は与之助)が初めは実の父子と知らずに道中をともにするところからずうっと父と息子の話に寄っている。
もともと子役の芝居が見せ場になるのだが、内田吐夢が「血槍富士」以来ずっと使っている植木基晴が三吉役。今の感覚で言うと声の調子も芝居もオクターブ高すぎるように思える。
三吉が母親のところから短刀を盗み馬方の頭領(進藤英太郎)に売り飛ばすあたりから話がこじれて、与作が頭領を殺してしまう悲劇の盛り上がりは内田吐夢監督らしい重量感のある描写が見られるけれど、そのあとがさらに悲劇がエスカレートするのに決定的な切腹シーンがとんでいる省略にはちょっと戸惑う。
画面のつかみ方の大きさは内田吐夢らしい。

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