霊能者役のエマ・ストーンが可愛くてこれだけで主人公がちょっと気が迷いそうになるのがわかるし、実際迷ってしまう。ウディ・アレンもいい歳(1935/12/1生)だが、若くてきれいな女優さんにカメラ向けているんで元気保っているのではないかと思わせるくらい。たくさんの演技賞にノミネート・受賞された「バードマン」も楽しみ。
恋こそが本当のマジックで、嘘であっても支えになるというテーマはアレンとしてはずいぶん直球で、「ブルー・ジャスミン」のシニカルな調子が反対側に振れた感じ。といってもシニシズムはここでも主人公の元のキャラには込められているわけで、振り子みたいにまた次では前面に現れるのだろう。フランスやイタリアやスペインを舞台にすると作品のタッチももろにバカンス気分になる。
ファースがステージでやってみせる大がかりな奇術や、交霊会で聞こえるラップ音といった要素が、ドラマに組み込まれて再登場するあたり、そうなるだろうとは思っていても安定して気楽に楽しめる。
ダリウス・コンジの撮影が、南フランスの柔らかい光と色の出し方といい、日が傾いた時間帯の地平線や水平線の微妙なグラディエーションの捉え方といい、素晴らしい。
使ったカメラはArricam LTとArricam STという35mmフィルムカメラ。今どきデジタルカメラではなくフィルムを使っているのは珍しいし、実際それだけの効果で出ていると思う(上映はデジタルだが)。未だにタイプライターで執筆しているアレンらしくもある。
冒頭に出てくる象がエンドタイトルでちゃんと名前が出てくるのが可笑しい。
(☆☆☆★★)
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映画『マジック・イン・ムーンライト』 - シネマトゥデイ