「アッカトーネ」に続くパゾリーニの監督第二作。
リアリズムが基調だが、冒頭のダヴィンチの「最後の晩餐」風の構図の結婚式に豚が紛れ込むあたり、涜神的なようで逆説的に一種の宗教的な精神性を感じさせる。
寝台に拘束された息子を足の裏から撮った構図はマンテーニャの「死せるキリスト」風。
アンナ・マニャーニというスターにして大女優を軸にしているけれど、ママそのもののようなイメージの人だからぴったり。
「奇跡の丘」で聖母マリア役を自分の実母に演じさせたパゾリーニらしいあからさまなマザコンぶりを臆せず全開にした、一種の自伝的な手触りさえ感じさせる。
都会を舞台にしているにも関わらず、がらんとした空き地に奇妙な形の岩が突き出ている光景などはパゾリーニの後年の作品の荒野のイメージ。