実際周囲の人間のヒドさはもっと上で、最終的に一番ヒドいのがホワイトハウスということになるまでの展開と論理の積み重ねが見事。
何にもない田舎町に主人公バリーの「会社」が稼ぐ金が山ほど落ちて町全体が成金化して変な具合に発展し、札束がざくざくしすぎて納屋にまであふれて戸を開けるとどっと雪崩堕ちてくるなんてマンガみたいな場面が現実になるおかしさ。
州警察とFBIとDEA(麻薬取締局)とがそれぞれ彼を追って同時に逮捕にくるあたりのドタバタ感もいい。アメリカが持っている腐敗に対する歯止めの機能というのが、必ずしも正義感ではなく取り締まる側の縄張り争いから来ていることを端的に見せる。
70年代末から80年代初めにかけての小物の再現が丁寧で、まだ携帯がなくてずらっと並んだ公衆電話を渡り歩きながらあちこちに電話してまわったり、記録するビデオをVHSだったりするちょっと昔の物がものすごく古めかしく感じるのがまたなんだか可笑しい。
ぐらぐらするカメラや色味が古めかしく統一したあたりもさりげなく凝っている。小型飛行機の飛行シーンの、小さくて遅いゆえの危なっかしいスリルも新鮮。
(☆☆☆★★)
バリー・シール/アメリカをはめた男 公式ホームページ
映画『バリー・シール/アメリカをはめた男』 - シネマトゥデイ
バリー・シール/アメリカをはめた男|映画情報のぴあ映画生活

本ホームページ