この間(ま)と予感の感覚は、垂れ下がった布がわずかな風で揺れたり、どこかから伝わってきた振動で手術用具がカタカタ鳴ったり、窓の外の光が強まったりといったタルコフスキーを思わせる技法で描かれる。
タルコフスキーの後期作品を貫いているカタストロフが近づいている感覚をもう少しとっつきやすい、やや可笑しさを含んだタッチで表した感じ。
誰もいないのに自動ドアが開き、しばらく間を置いてから東出昌大が登場するシーンなど、それだけで人外の者であることがはっきりわかる。そういう日常的な道具立てを使って世界や人物を異化する腕が見もの。
侵略者の先遣隊が人間の「概念」を奪う、というキモになる発想はスピンオフの元になっている「散歩する侵略者」から引き継いでいるのだが、やはりコトバによる発想と展開で前半のセリフに頼らない表現の緊張感に比べると何か隔靴掻痒な感じがする。「感情」を奪うのだったらピンとくるのだが。
(☆☆☆★★)
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映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』 - シネマトゥデイ
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