冒頭、全身青痣だらけのシャーリーズ・セロンが氷水を張ったバスタブに漬かって痛みを抑える、「ノースダラス40」のニック・ノルティみたいなハードなテイストで登場するのは好調。
ただその後、上司たちの尋問に答えてなぜ痣だらけになるに至ったかを話していくのが本筋になると、アクションものとしては生き残ることが初めからバレてしまうので今一つスリリングにならない。
アクションシーンそのものは女一人で男たちをみんなやっつけてしまうのを荒唐無稽な調子でなくかなり説得力のある動きと体格で描き出していて、走る車の中でカメラが360°回転し、外で追跡してくる自動車が転倒するまで切れ目なしに撮ったりと、新しい次元に入ったと思わせる。
タルコフスキーの「ストーカー」上映中のかなり大きくて立派な映画館というのが出てくるのだが、あれは1979年製作で、ここでの時代設定は1989年のベルリンの壁崩壊前後と10年の差がある。時代考証というより「ストーカー」の映像が投影されているスクリーンを前に「野獣の青春」ばりの傾いた趣向のアクションを描きたかったのだろう。
(☆☆☆★)
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