prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「海を駆ける」

2018年06月11日 | 映画
「アラビアのロレンス」のアリ(オマー・シャリフ)登場シーンみたいな据えっぱなしの長回しで燦々とした海のはるか彼方からやってくる男を捉えたオープニングカットから、この男どこからやって来たのだろうといえば、「海」としか言い様がないリアリズムを超えたニュアンスを出す。

インドネシアの明るい太陽の下であらゆるものが曝されているような中でちょっとづつ不思議な出来事やマジカルな飛躍が織り込まれていくところにセンスを示す。

津波がこの地にも襲ったという話から、自然に東日本大震災が連想され、映像ではかえって描けない、枠を区切って写したら矮小化してしまうような膨大な人の死が背後にあることが自然に感じられてくる。

ディーン・フジオカはもうもうどこに属しているのかわからない存在自体が柄にぴったり。
何か生と死の間を縫ったり弄んだりしているようなのだが、おどろおどろしい方に行かずに明るく透明なトーンを崩さない、あるいは透明なのだがどこか怖い。

阿部純子が細っこくて今の日本の女の子っぽいのだが、周囲に対する警戒がかった光を目に浮かべているのが印象的。最近では「孤狼の血」の薬局の子でも印象的だったが、ウィキにアイドル顔でなく女優顔だとスタッフに言われたというのに納得。
多国籍な人間と言葉が交錯するアンサンブルが自然。

「海を駆ける」 公式ホームページ

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6月10日(日)のつぶやき

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