何より殺しの見せ方が通常のアクション映画とまったく違っていて、直接描写を避けた事後描写であったり、監視カメラの映像で代替していたり、何やら北野武の、特に「ソナチネ」の文体を思わせる。
その文体=スタイル感を決定づけているのがこのところ「ファントム・スレッド」などでも圧倒的な存在感を放つジョニー・グリーンウッドの音楽。道を自動車が走っているところに現代音楽そのものといった厚みのある弦が響くあたり、画と音が一体になったアートを見ている気分。
終盤の場面のつながり方の省略と飛躍とツイストがどういう意味なのか当惑もさせるが刺激的。
ホアキン・フェニックスが役作りなのかどうなのかずいぶんと太目になって、殺し方もプロっぽくなくスマートでもない。
明らかにマザコンな一方で少女を助け出す(?)のがつながった不思議なキャラクター造形になっている。
(☆☆☆★★★)
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