息子を亡くした母親の心情という日本の風土でじめじめしたタッチでやろうと思えばいくらでも心情過多にできそうなモチーフだが、ハワイの風光明媚な風景の、あまりにすかっとクリアに見えるのが空虚感喪失感を感じさせる。
吉田羊が英語のセリフ、ピアノの演奏などのハードルを楽々とクリアしている(ように見える)上に、ただ本を読んでいるといった何もしないでいるのに等しいところで何もしないことに徹している、その何もしないでいられるのが表現として強い。
フラッシュバックで息子や夫との経緯が語られるのが説明的でなく最低限で切り上げるのがいい。
後半、怪奇譚に寄るあたりで海の上に見えるサーファーが片足なのではないかとか余計な気をまわしてしまった。画面がでかくて見えすぎるせいか。
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家畜人六号 作品集