茶道というと利休を扱った映画はいくつもあるが、現代の女性のお稽古ごとになった茶道を扱った映画というのはたぶん初めてだろう。
誰でも知っているし、学んでいる人もかなり身近にいそうなのに映画にしようとした人間がいないというのは、一種の盲点をつかれた感。
そして茶道の美意識というのはかなりいわゆる「日本的」な静謐で端正で型を重視した美意識の典型でもあるから、いざ見せられると案外とっつきやすく、時代劇の利休映画で見るような肩肘はった感じは薄い。
映画で見ている分には足が痺れることもなく、座敷や道具やお茶菓子や所作の美しさを楽しめるという次第。
黒木華がしきりと自分が何者でもないというコンプレックスを抱えている役なのだが、ひとつことをずっと続けていくと茶道をきわめるようになるわけでもないのに十年という時間がいつのまにか積み重ねった手ごたえが残り、確実に何者かにはなっていく、というより見つけていく。
利休は生えている竹を切って茶室に置いてそのまんまで茶器に見立てたというが、樹木希林の演技、というより存りようはそのままで名品になってている感。
封切されて三週間以上たっているのに年配客でほぼ満員。
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