もともとジェームス・ディーンやマーロン・ブランドと同時期のアクターズ・スタジオの出身で(「傷だらけの栄光」ではディーンの急逝で代わりに演じた)反抗的な役柄もだぶるところがあって、ディーンが「エデンの東」で演じた父親に対する反抗と母親に対する甘えたくても甘えられない複雑な愛情を、ニューマンはここで前者を、それから「暴力脱獄」で後者を再現している図になる。
「八ッド」の時のニューマンは38歳ですでに父親(メルヴィン・ダグラス)に対する反抗という歳でないばかりか兄の息子(ブランドン・デ・ワイルド)の父親代わりのような立場になっているのにも関わらず、まともに働かないわ、人妻とは関係するわでおよそ反面教師なのだが、こういういい加減な叔父さんというのも思春期の男の子にはけっこう魅力的なのがよくわかる。
この後、ニューマンは成熟した男のイメージ代表みたいになっていく。
メルヴィン・ダグラスの強力な父親的イメージはこの後のジーン・ハックマスの父親役をやった「父の肖像」でより一層深められる。
デ・ワイルドは「シェーン」のジョーイ少年の20歳に成長した姿で、ときどき正面などあのままの顔がだぶる。30歳で早世したという。
父親の牧場の牛たちが口蹄疫にかかり全頭処分しなくてはいけなくなり、牛たちが片端から射殺され消毒の粉末をかけられ埋められるあたりが無惨であると共に、何か象徴的。
ジェームズ・ウォン・ホウの白黒撮影が見事で、当人が最高作と自負するだけのことはある出来。
Hud Imdb
「ハッド」 - 映画.com