prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ハッスル」

2018年11月16日 | 映画
「ロンゲスト・ヤード」のバート・レイノルズ主演、ロバート・アルドリッチ監督というから豪快な男性的アクションを期待すると相当にスカされる。(実をいうと「ロンゲスト・ヤード」も豪快というだけでなくけっこうあちこち苦味が効いているのだが)

一番の理由は共演がカトリーヌ・ドヌーヴだからで、このフランス以外の何者でもない美人女優が西海岸の乾いた風土にあってなんともいえない違和感と異物感を終始もたらしていて、かといってそれが欠点になっているとも言い切れない不思議な感じ。

冒頭に若い女の死体が海岸で見つかるあたりからしてハードボイルド調だが、その娘の父親が遺体を見て激昂して何の関係も責任もないはずのレイノルズをいきなり殴るあたりからどこかニューロティックなニュアンスが入ってくる。

これくらい登場人物がよく映画を見ている映画も、この当時としては特に珍しかったろう。テレビでやっている「白鯨」から、二人で見に行く「男と女」(この違和感がまた凄いし、駐車しているコインパーキングの頭にレイノルズが袋をかぶせてごまかしているのをさらっと見せたりしている)まで、何度も変奏される。

そして父親が最終的に見ることになる「映画」(フィルムに無数の傷が入っているあたり、いかにも70年代の安物のブルーフィルムらしい)にそれらが収斂していくような構造にも何か歪みが見える。全体にこの歪み自体相当程度計算して出しているように思うが、それがどこに向かうのかいわく言い難い。くて、失敗とも成功とも断じにくい。
ちなみにこの犠牲者を演じているのが本物のポルノ女優(この言い方はどうも好かないが)であるシャロン・ケリー。

ジョセフ・バイロックの撮影の黒の締まり方が魅力的。
今とずいぶん照明法など違っている感じで、室内の照明で人物の影がはっきり壁に出ている(カットが変わると影の位置が変わっていたりする)なんてことは今ではまあないだろう。

「ハッスル」 IMDb

「ハッスル」 - 映画.com

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