VHSもDVDも出ていて、信濃町の書店では平積みになっているのを見たが、レンタルは見た限りではしていないし、レンタルでもいくらなんでもカネ出して見る気にならず。
ちなみにやはり信濃町で着物を着た女性たちが大奥の行列よろしくヒラエルキー丸出しで行進していたのも見た、学会の婦人部だろう。
シナノ企画(初めは信濃企画)はのちに橋本プロと組んで大作「八甲田山」を作ることになる。さすがにお金ありますねえと思うし、これもずいぶんな大作。
創価学会二代目会長・戸田城聖の一代記。
丹波哲郎がやると言っていることはよくわからない割りにもっともらしく元気で愛嬌もあるのでなんだか乗せられてしまう感じは良く出る。丹波自身はあれだけ死後の世界を宣伝していた割に特に信じていた宗教はなかったらしい。
前半は治安維持法違反で入獄していた戸田城聖が終戦直前に釈放され出版社の経営者として生き抜くあたり(終戦直後ですき焼き食べているあたり、やり手だなと思わせる)、とっつきやすい入口を用意して、それから時間がバックして前半生をつづり、逮捕されて獄中で宗教体験をするあたりまでが第一部、第二部では思い切ってえんえんと学会の教義を喋り続けるあたりずいぶん破格の構成。
一部はリアリズム、後半は教義の絵解きというか教義そのもの。
公開当時の「キネマ旬報」の座談会で橋本忍は後半を膨大な教義の言葉の奔流について、とにかく懸命に喋っている人を撮るのが画としても一番力を持つと思うのでああいう作りにしたと語っている。
教義そのものに興味もなければ共感もしないし、学会と公明党にはありていに言って反感を持っている人間にとっては、聖書ものスペクタクルと似たような感じで見ることになるが、後半教義そのものをスペクタクル化しようとする試みともとれる。
日蓮上人をやっているのが仲代達矢で、普通だったら彼に喋らせるだろうが、そこまで戸田城聖の語りで塗りつぶしてしまう。
しかし、もともと橋本忍作品にあって晩年で露わになるヘンテコな歪みと学会の教義に妙な親和性があるのも確かのよう。
予科練帰りが渡哲也だったりするやたら豪華なキャスト。
音楽が伊福部昭、特技監督中野昭慶で、開戦のあたりで「地球防衛軍マーチ」がちらっと流れる。佐原健二、黒部進、森次浩司、平田昭彦など東宝特撮・ウルトラシリーズの出演者がばんばん出てくるので、ちょっと東宝特撮映画の匂いも入る。
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