prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

2019年01月10日 | 映画
難病の当人のドラマであるのと同じくらいボランティアの男女二人のドラマでもあって、つまりどれだけ自分の人生を生きているのか生きたいように生きているのか、本質的なエロス(性的な意味であるより広義の生への衝動)を求めているのか、という普遍的なテーマに向う。
大泉洋の芸達者と能天気な感じが、およそ可哀そうな障碍者がけなげに生きていく泣かせる映画からむしろ対局に来た。

冒頭、砂時計のアップから始まるので、限られた命の象徴=砂時計が壊れるところで終わるのかと思うと、そこからがむしろ第二エンジン発射という感じで次の段階に入り、病状が悪化してからの闘病が悲壮ではなく

難病ものだから亡くなるところで終われば座りがいいのだが、そうはさせるかという感じでボランティア二人がどう生きていくかの話にバトンタッチする。
主役三人(大泉洋・高畑充希・三浦春馬)のアンサンブルが秀逸。

北海道の広さを生かした撮り方をしていて、風土の開放感が主人公鹿野の生き方になっている。雪に埋もれているところは出てこなかったのではないか。

生活費はどこからどう出ているのか、気になった。
しかし、障碍者ものもずいぶん進化したと思わせる。

親の世話になっていないのが、期せずしてなのかどうなのか障碍者の世話は家族がするのが当たり前という「常識」の押し付けに対するアンチテーゼになっている。

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」 - 公式ホームページ

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」 - 映画.com

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