今になるとわかりにくくなっているが、当時のレーガン大統領はソ連に対し強行姿勢を見せ、(皮肉にも、というか、だからこそというか、そのレーガン政権のもとで冷戦は終結したわけだが)それに便乗してプロレスでは米ソ決戦と称してカナダ人にイワン・コロフとかニキタ・コロフといったロシア風だが短くてわかりやすいリングネームをつけてロシア人に仕立てて、これをサージェント(軍曹)・スローターといった愛国レスラーが迎え撃つというひどいギミックの試合が人気を集めていたし(こういう風土からおそらくトランプも出てきた)、ソ連を安直なカリカチュアライズした敵役にした映画もやたら流行っていた。
荻昌弘の表現を借りると「この娯楽の作りようは、基本がおとな気ありません」となる。
それがぐるっと30年を経て感動的なドラマになって帰ってくるのだから世の中わからない
「ロッキー」第一作が出た時、あまりにもロッキー=スタローンがイメージとして一体化しているので何十年もかけて追うサーガができるといいと誰かが言っていたが、なんとそれが実現した感。
「クリード」一作目で世代交代のドラマとして出発したわけだが、この分だと冗談でなく三代目のドラマにまで行きそう。
このシリーズは、一作目のロッキーのラッキーパンチが入る瞬間、ファイナルのこむら返りのなど試合の流れの決め手になる瞬間にすぐれたアイデアを見せて、ただの頑張り比べを超えることが何度もあったが、今回の試合の決着のアイデアはロッキーができなかったことをドラゴがやれた、ある意味ドラゴがロッキーを違う意味で超えた瞬間として特筆もの。
クライマックスで泣かされたのはむしろドラゴ父子の方なくらい。
ブリジット・ニールセンの使い方もなるほどと膝を叩かせる。
「クリード 炎の宿敵」 - 公式ホームページ
「クリード 炎の宿敵」 - 映画.com