prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「バーニング 劇場版」

2019年02月24日 | 映画
さまざまなモノが存在しているのかしていないのかわからない。
猫、井戸、燃やされるビニールハウス、主人公が書いているという小説、など。そしてヒロインのヘミまでがどこかに行ってしまう。

アントニオーニの作品、特に副主人公の女が途中で失踪して以後出てこない「情事」を思わせ、車での追跡シーンはヒロインが虚実定かならぬヒッチコックの「めまい」の追跡みたいでもあった。

何をやっているのかわからないがやたらと金のかかった生活をして女性をとっかえひっかえしている男ベン(“ギャツビー”と揶揄される)と主人公ジョンスとの経済格差というのがくっきり出ている。ああいう生活スタイルの描写は村上春樹の、特に初期作品で見られたわけで、パスタをゆでて食べるというあたり、妙にハルキらしい。
ラストは金持ちへの妬み嫉みの噴出でもあるのかもしれないが、はっきりさせてはいない。

ヘムの部屋があまり若い女の子っぽくない。それとも韓国ではあんな具合なのだろうか。
再会して早い段階でジョンスがヘムとセックスしていまい、ジョンスがあとで思い出してはマスターベーションするのが何度か繰り返され、いなくなったヘムへの執着がかなり生な感じになった。

ヘムが住んでいる高級そうでない住宅地のやたらと道が入り組んで高低差の大きい地形と、ジョンスの実家のがらんとしてだだっ広い地形の対比。
見通しの悪い道路が追跡シーンで追う車が見えたり見えなかったりするサスペンスに生かされている。

NHKで先行放映された1時間半版は見ないでいたのだが、画面がスコープサイズなのにちょっと驚いた。
テレビ版ではラスト一時間くらいがついていないわけだが、劇場版のラストがきちんとした締めくくりかというとやや疑問。途中からこれで見事に飛躍した着地をしたらすごいと思ったが、あまり釈然としない。

「バーニング 劇場版」 - 公式ホームページ

「バーニング 劇場版」 - 映画.com

2月23日(土)のつぶやき

2019年02月24日 | Weblog