prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ファースト・マン」

2019年02月23日 | 映画
はやぶさ2がリュウグウに着陸というニュースの直後に行ったせいかどうか、バカに混んでいた。

すごく緻密で大がかりな再現フィルムという感じ。
月着陸当時の文献などを見てみると、着陸した宇宙飛行士は本当に「英雄」といえるような存在なのか、到着するまでの技術の大半はそれをバックアップする機構に帰するので、月に行ったといっても宇宙に行ったサルと大して変わらないのではないかといった皮肉な意見や、地上に貧困やベトナム戦争などいくらも解決しなくてはいけない問題を抱えているのにそんなべらぼうな金をかける意義がどこにあるのか、結局国同士のメンツ比べではないかといった批判は結構あって、それをこの映画でも取り込んではいる。

ただ、結局月着陸をクライマックスに置いている以上、なんとなくやり遂げた感、カタルシスはあるけれど、批判的な視点は奥さんが心配するといったのと同列の、あまり突き詰めようのない問題となんとなくごっちゃになってうやむやになっている。

はっきり批判的、皮肉な視点を打ち出し、宇宙飛行士たち自身がかなりはみ出し者的だった初期のマーキュリー計画を扱った「ライトスタッフ」の方が作品としての輪郭がはっきりしていたと思う。
あえて視野を狭く区切っている映画だけに視界がちょっと広がると気になるのだね。

ただ技術的な達成は凄くて、視点の範囲をマクロに限定して体感に迫るという点では成功している。部分的に16mmフィルムを使ったというざらっとした手触りの画調や、無音を含めて音響効果といった技術が人間の感覚に迫っているというより、むしろ肉体外のテクノロジーの性質に人間の感覚が既定されているのではないかと思った。

「ファースト・マン」 - 公式ホームページ

「ファースト・マン」 - 映画.com

2月22日(金)のつぶやき

2019年02月23日 | Weblog