で、困ったことに(というのも変だが)上手いのだな、やはり。
サリンジャーの大学での教師にして最初に短編を採用した雑誌編集者の役で、教師というより導師という風情で作家としての教えを授けるところから「ライ麦畑でつかまえて」で大成功を収めたサリンジャーに売れなくなった雑誌の序文を頼みにくる落魄した感じまで幅の広い変化を的確に表現している。
有名になるにつれてストーカーみたいなファンが待ち伏せするようになるあたりの落ち着かない感じや、成功したにも関わらずますます孤独に閉じこもる描写はやや駆け足な展開で落としどころがなくて普通にまとめた感じ。「ライ麦…」のホールデンはもちろんサリンジャーの分身ではあってもそのものではないわけで、中途半端な感じは否めない。
スペイシー扮するウィット・バーネットの視点から見た、困り者だけれど物は見えている人間であるサリンジャー(ひいてはホールデン)を描くという方法もあるかなと想像した。
ユージン・オニールの娘でチャップリンの最後の妻になったウーナ・オニールの登場などあまり生かされていない。
「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」 - 公式ホームページ
「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」 - 映画.com