ガレッジセールのゴリが本名の照屋年之で監督脚本を担当しているのだが、肉親の死とフィジカルに接するもろに重く場合によっては陰鬱にもなりかねない場面でツッコミが入るように笑わせるセンスとバランスのとりかたが実にいい。
吉本興行で何人もの若手芸人に短編映画を撮らせた試みをやったうちから大きな成果として結実した感。
道端につながれている山羊が何度も写され、人間たちの営みを横から見ているようなニュアンスの面白さ。
すでに生まれている小さな男と女の子供ふたりが妊娠しているお腹に対して見せる態度の違いがすでに男の女性に対する怯えに近い感じを出した。
唯一の本土人に鈴木Q太郎を置いてこの特異な風習に対する外からの目と観客とのブリッジ役と当然ながらお笑いのネタにしている。
作中で島の東は生きている人の村、西は墓、という具合にわかれていて道に子供の遊びのように置かれた境界を超えると生死の境を超えたことになる、生死が分断せず地続きになっているのを画にしている。
骨を洗う、という行為が死んだ者も生死の連なりの中にいるという世界観としてあるのがラストできっちりと結実する。
奥田瑛二のアル中親爺が飲んでいる琉球泡盛が「久米島の久米仙」という銘柄がはっきりわかるように撮っていてエンドタイトルの協力の中にも名前が見えるのだが、あれ宣伝になるには違いないが問題にならないのかと余計な心配をした。
「洗骨」 - 公式ホームページ
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