最近珍しいくらい主演女優のリリー・ジェームズを、特にアップを丁寧に撮っている。下ぶくれで必ずしも造形的に完成した美人というわけではないのだが、肌のきれいなところとか表情などを丹念に捉えているのは最近ちょっと珍しい。
「ダウントン・アビー」の従妹のローズ役で有名になった人だけれど、他に三女シビル役のジェシカ・ブラウン・フィンドレイやクローリー夫人役のペネローペ・ウィルトン、ヘンリー・タルボット役のマシュー・グードとダウントン組が三人も出ている。
読書会の長老がトム・コートネイなのに驚く。
エンドタイトルを見ていてあれと思ったのは、assistant to Miss Jamesとかdriver to Miss Jamesという表記が出てきたこと。最近は既婚未婚を問わない男でのMr.にあたるMs.を使うことが多いので、なぜ今どきとも思った。
離れ島で戦争中に催された読書会に若い女性作家が招かれて、そこで過去に起きた出来事を知っていき、それがヒロインの人生観にも影響を与えていくというまわりくどいといえばまわりくどい語りだが、自他をはっきり分けながらそれでも伝わるものはあるし伝えなくてはならないことがあると思わせる。
両者をつなぐのがチャールズ・ラムの詩集(シェイクスピア物語が出てくるだろうなと思ったら果たせるかな出てくる)で、手紙や分厚い原稿の束などと共に紙に書かれた言葉、あるいは読み上げられた言葉は画になる。
原題はThe Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society 。このポテトピールパイが不味いとわざわざいうのがいかにもイギリス的な可笑しさ。