国替えに対する費用を節約するために一種の断捨離の工夫の数々が一応の見せ場になる。
最近の松竹時代劇は斬り合いを見せるより経済的な観点からのドラマを見せることが「武士の家計簿」あたりから増えている感があるが、一方でまったくチャンバラがないのも寂しいという感じで一応斬り合いが入っているが、そこに持っていくのが結構強引。
あれだけ幕府側が無理筋(というか、男色を断られた恨みというのは矮小に過ぎないか)で国替えで藩を疲弊させるばかりか陰謀をめぐらして取り潰しを図っている、その結果として斬り合いまで至ったのだから、本来だったら幕府がはっきり敵にならなければ済まないところ。
そこを外してどう経費を抑えて幕府に押し付けられた国替えをつつがなくやり遂げるかという話に終始するのは、いかにも今風に大きな状況から目をそむけて小さな目標の達成で済ませて満足してしまう作りで、その場のカタルシスはあるけれど後で考えてみるとなんだか納得できなくなってくる。
高畑充希の袴姿がスポーティで魅力的。縁側に走りこんで勢い余ってツーっと滑る姿とか、星野源と向かい合って挨拶するのに星野の方が先に三つ指つくのが可笑しい。
ピエール瀧が断りも何もなくしれっと登場。別にそれでいい。
エンドタイトルでアート引っ越しセンターの人が監修と出るのがなんだか可笑しかった。