prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アーニャは、きっと来る」

2020年12月06日 | 映画
娘のアーニャと生き別れになった父親がフランス南部の田舎町に潜伏して他のユダヤ人の子供たちを匿いスペインに脱出させようとするのを、半ば偶然から協力することになる地元の羊飼いの少年の回想として描く。

脱出劇としてのサスペンスもあるが、あまりどぎつく引っぱらない。ずっと後になってからの回想形式ということもあって、どこか寓話的な感触がある。

ナチスドイツ占領下の南フランスを舞台にしていてもセリフが英語というのは興を削ぐ。イギリスとベルギーの合作でフランスは資本参加していないのだな。
ジャン・レノやアンジェリカ・ヒューストンが脇の重要な役で出ているのも国際的マーケットを想定してだろう。

ナチスの方にも娘を亡くして嘆き悲しむ軍曹といったキャラクターが出てきて、一方的な虐殺者というレッテルオンリーではない。
このあたりも時代が下った影響だろう。

主人公たち羊飼いがスペインのフランス寄りのバスク発祥のベレー帽をかぶっているところから、舞台がフランスでもスペイン寄りなのがわかる。