prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ナイチンゲール」

2020年12月18日 | 映画
19世紀オーストラリアで自分をレイプし子供を殺した男に対する女性の復讐劇だが、そのための道案内役が黒人男という被差別者同士の組み合わせになり、男=女と白人=黒人の差別・被差別の組み合わせが複雑にねじれたものになっている。

白人とはいってもアイルランド人で、「ザ・コミットメンツ」に「アイルランド人はヨーロッパの黒人だ」なんてセリフがあったように白人内部にも差別構造はあるわけで、案内役の黒人が「まったく白人って奴は」と呆れるようにややこしい。

殺した黒人たちの首を戦利品として切り離すあたり、“文明人”の残酷さは傲慢と侮辱が加わっている分、“未開人”の比ではないのを典型的に示す。

出てくる鉄砲が火縄銃みたいな先込め式で、接近戦だと弾をこめている間に刺されてしまうのがやや間が抜けたような分、残酷。