声優夫婦という邦題はかなり看板に偽りありで、声優に限らず俳優が異郷で生きる大変さ、俳優という仕事が相当に人間性に触れるところを突っ込んだ認識の上に出来ている映画と思える。
レンタルビデオ屋というのがVHSなのは時代のせいか知らないが、見たところケースにも入れておらずテープを剥き出しにして並べているのがなんとも乱暴。
ベッドのなかで妻がリア王のセリフを言うのは、浪々の身になったリア王に夫の姿を重ねてのことだろう。
他に夫がオーディションで「波止場」のマーロン·ブランドのセリフを朗唱する名調子が見事なだけに悲痛。
余談になるが、「ロッキー」の一作目にはかなり「波止場」が入っていると思う。
ブランドの役が元ボクサーというだけでなく、ラブシーンでキスしたらずるずるっと抱き合ったまま床に崩れ落ちるあたりもそっくり。