prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アシスタント」

2023年07月18日 | 映画
音楽がラスト近くまでかからず、エンドタイトルに器楽曲がかぶさるまではピアノソロという具合に禁欲的な使い方をしている。
静謐で抑制がきいた描写の中で終始ぴりぴり張りつめたような危うさを見せる。

「会長」が姿を現さず、声だけの出演にとどまり、しかも電話で叱責して謝罪を要求してきたかと思うと、メールではヒロインの成長を期待するなど言ってくるのだから混乱する。

ヒロインは一番早く出勤して一番遅く退勤するわけだが、そのヒロインよりもっと遅くまで居残っているのが会長。ある種の”きりのなさ”の象徴のようでもある。

アシスタントのそのまたアシスタントをつとめる女性が早く上がっていいと言われてあっさり言うことを聞く。
微妙にやる気のなさ加減にうんざりしかけながらそう思っていいのかどうか、そう感じてしまう自分を内省しているようでもある。

男たちがスクラムを組んで立ち塞がっているようなホモソーシャルな感じというのは、おそらく自覚していないであろう分タチが悪い。