prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

MONDO映画ポスター展

2022年01月16日 | 映画
 

「一世紀以上にわたって映画宣伝の核となってきたポスター――それは時代や地域によってスタイルを変えながら、映画館に向かう私たちの心を絶えず躍らせてきました。現代では広報メディアの主軸はインターネットに移りつつありますが、 今世紀に入って、宣伝という枠にとらわれない、アートフォームとしての映画ポスター復権の動きも生まれています。
 その最先端にいるのが、アメリカはテキサス州オースティンを本拠地に、鋭い感性を持つデザイナーやイラストレーターに委嘱、旧作・新作映画の垣根を超えたオリジナル・ポスターを生み出しているMONDO(モンド)です。2004年に映画館「アラモ・ドラフトハウス」系列のTシャツ店として生まれ、映画のサウンドトラックやオブジェなども制作してきましたが、何よりも、スクリーンプリント技法で印刷される限定版の映画ポスターはオンラインショップを通じて各国に熱狂的なファンを獲得しています。」

タクシー・ドライバー


悪魔のいけにえ


エクソシスト


マニアック

ファンタズム

ロッキー


ロッキー3


ランボー 怒りの脱出


シャイニング

時計じかけのオレンジ

フルメタル・ジャケット

メトロポリス


遊星からの物体X



レポマン

フランケンシュタインの花嫁


13日の金曜日 PART3



めまい
キル・ビル

地球に落ちてきた男





「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」

2022年01月16日 | 映画
デュポンという大企業が実名で登場するのはアメリカ映画では常識とはいえ、徹底した敵役なのでやはり驚く。
敵役といっても、会社の人間が悪役として姿を現す場面はごく少ない。下っ端も経営陣も一応描かれるが、たとえば憎々しい顔をさらして悪役キャラクターとしてドラマ上の感情を担うように機能させるのは意識的に避けている。

テフロンの毒性はデュポン内部の調査ですでにわかっていたのを隠蔽していたわけでその良心の欠落に呆れると共に、外部からでは長年にわたってデュポンが蓄積したデータ=証拠を手に入れるのは不可能で(何しろほとんど自社社員をモルモットにした人体実験に等しいやり方で集めたものすらある)、もっぱら情報公開請求によって敵からデータを分捕ってくるほかないのが皮肉であり、一種ねじれたリアリティを出している。

一見負けて史上最高額のペナルティを課されても、実はデュポンほどの大企業なら数日で稼げてしまう程度の金額でしかない。
第三者による検証には膨大な時間と手間暇、費用が必要で、負けたかのように見えたデュポンが改めて争う姿勢を見せたら体力勝負では相手にならず、資本それ自体のシステム=論理としての非情さが経営者や企業の体質を問えば済む通常の社会悪の描写のレベルを超えている。

正直、毎度のことながら邦題の「巨大企業が恐れた男」というのは甚だしいミスリード。企業は恐れなどしない。傲慢ですらない。単に感情とは無縁にシステムが淡々と機能するだけだ。

汚染された土地や水で健康被害を受ける人たちはデュポンの内外の至るところにおり、そしてはっきり顔のある存在して描かれるのは彼らだけだ。

だから後半は社会正義の一応の実現によるカタルシスや、その逆の敗北感や、陰謀の恐怖といったものに触れつつ、一種逃げ水のように結論を先送りしながら幕を閉じる。

全編、知的で端正で終始静かな緊張感と沈んだ戦慄をもって展開する。画面のと音の質も高い。

マーク・ラファロは2014年にも同じデュポン絡みの「フォックスキャッチャー」に出ていたが、どういう因縁か。

マーク・ラファロとアン・ハサウェイの子供たちが順次生まれて大きくなっていくのを点描というより背景としていつの間にかの時の経過として描写していくのが上手い。

ティム・ロビンスが髪の毛が真っ白になりながら相変わらずおそろしくノッポのまま出てくる。





「Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン」

2022年01月15日 | 映画
昨日に引き続き、レンタルビデオ店閉店につき未配信映画を借りて見た。

在日の女性監督ヤン・ヨンヒが朝鮮総聯の幹部であるアボジ(父親)を撮ったドキュメンタリー。
本気で金日成を敬愛しているのに見ていて引くが、肉親としての視線で捉えられると簡単に排除はできないのが複雑な味わいを残す。

万景峰号の内部が見られる。テレビだともっぱら禍々しいイメージに映るが、在日の家族から北朝鮮へ送られる段ボール詰めの物資を積んでいるのを詰めているところから続けて見ると(「月はどっちに出ている」にも出てきた)、違う印象を受ける。

とはいえ一方でおなじみの北朝鮮の変なところも自然に写り込んでくる。港に近づくと「電撃戦」「殲滅戦」といった海に向かった看板がビルに掲げられているあたり何でしょうねと思う。

北朝鮮の子供が「アメリカにもノーベル平和賞受賞者いるのね」とか「私も何年後かには取る」というのにはちょっと驚いた。

在日でゲイのドキュメンタリー映画作家中田統一 が父親を撮った「大阪ストーリー」があったが、長男でありながら家業のパチンコ屋を継がずに映画の道に進んでしまったことにかなり疚しさを感じているようだったが、ここでは監督が娘のせいかそういう感じはない。
撮る=撮られる関係が肉親としての関係にかぶって、両親を撮ること自体葛藤はあるだろうが

アボジは年取るとかなりたるむけれど若い時イケメンなんだな。北に渡った兄たちも若い時はイケメン。
それがずいぶん変わってしまうのは時の重さだけではないだろう。




「草の乱」

2022年01月14日 | 映画
近くのレンタルビデオ店が閉店するので、配信にいまのところ乗ってない、秩父困民党の反乱を描いたこの映画を借りた。

いわゆる、というかれっきとした社会派映画なのだが、アクション時代劇の棚に置いてあって、それが相応しくある。
後半の大群衆シーンはいわゆる大作映画のエキストラとはまた違うそれ自体が主役という位置づけで、気合が入っている。

神山征二郎監督はいったん監督になってから夫人が病気になったので長期の安定収入が必要になって「八甲田山」の助監督をつとめたのだが、監督経験があると雪に足跡をついているのを見せないように連隊を動かして位置に入れる、その動かし方がわかったと語っているが、そういう大勢の動かし方の経験が生きたと思える。

神山監督としては「郡上一揆」に続く、日本では珍しい(のか?)正面きった民衆の叛乱を描いた連作となる。
「郡上一揆」は江戸時代の農民が高い教育があり、統制のとれた組織的な戦いをできた集団であることを説得力をもって描けたのが大きな魅力だったわけだが、こちらは時代が下って明治時代になり、政府が富国強兵体制を整備していくのと並行して養蚕である程度豊かになっていた者が価格の暴落で追いつめられる資本主義の整備に伴う皮肉というか当然でもある矛盾が自ずと見えてくる。



「レイジング⋅ファイア」

2022年01月13日 | 映画
かなりマジの権力者とされる側の分断とだぶる警察の本質的なピラミッド構造についての批判的な視点と、警官たちの仲間意識(女性刑事を自然に含めている)など、てんこ盛り。

前半は回想をはさむ複雑な語り口で、ときどき混乱する。ああこういうことだったのねと一番基本的なキャラクターの対立と結びつくところがぴしっと決まるかというとやや疑問。

アクションシーンは相当に残酷味が強い。
肉弾戦も銃撃戦もどこまで音響効果含めてエスカレートできるか、てんこ盛りというかメガ盛りの域でかなりへばった。

同族相食む戦い、というのにどこか中国と香港の関係がかぶる。




「マッスル 踊る稲妻」

2022年01月05日 | 映画
3時間半というのはちょっと前のインド映画だったら驚くほどの長さではなかったかもしれないが、最近経済成長で忙しくなったせいか短めになってきている中ではいささか長い。

主人公の青年がボディビルダーとして成功したのを足掛かりに化粧品メーカーのイメージキャラクターになり、さらに映画の主演に抜擢されるが芝居があまりにド下手なもので主演女優が本当に恋しているふりをしろと言い含められ、というあたりで通常の映画のお話一本分はゆうにあるが(文字通りお花畑をバックにして歌と踊りもあり)、さらに「オペラ座の怪人」か「ノートルダム⋅ド⋅パリ」のような醜い姿にされた男の復讐譚になるのだから画面もお話もずいぶんクドい。

特殊メイクの姿というのはあんまりえんえんと見せると作り物っぽさが目立つもので、隠しながらちらちら見せる邦画効果的でなかったかと思う。

原題のiというのは劇中に出てくる化粧品のブランド。








「ホモ・サピエンスの涙」

2022年01月04日 | 映画
全編フィックスでワンシーンワンカットで描かれる、それぞれがどう繋がるのか、一見してはっきりしないエピソード集。
それらにこれこれしている男(あるいは女)を見たといったナレーションがかぶる。
イエジー⋅コシンスキの「異端の鳥」に続く第二作にして全米図書賞受賞作「異境」を思わせたりする。

現代の街を十字架を背負って鞭打たれながら歩く男のエピソードや、神を信じられなくなった牧師というベルイマンの「冬の光」ばりの牧師が間隔を置いて登場する。

ヒトラーの最後や、おそらく独ソ戦で負けたドイツ軍がおそらく捕虜収容所に向かって歩き続ける情景など断片的な叙述からも、相次ぐ戦争と神を信じられなくなった第一次大戦以来のタガが外れた精神状況をバラけたまま描いた映画とすると一応スジは通る。

むしろタルコフスキーの「鏡」のように繋がらない構造自体を味わう作りともとれる。




「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」

2022年01月03日 | 映画
聴力を失ったミュージシャンの世界をその主観に合わせて音がほとんどなくなったり微かに聞こえるだけにして表現した、アカデミー音響賞を受賞した音響演出が秀逸。
ベートーヴェンの伝記もこういう作り方するのもありかなと思った。

5.1chステレオと2chステレオとで部分的にだが聞き比べてみた。およそ抽象的な言い方しかできないが、前者が音場の真っただ中に包まれているようで音が聞こえないのが何か膜が張っているような感じなのに対して、後者だともう少し音が遠く離れたところにあるが隔絶した感じは薄いように聞こえた。
本来だったら、劇場で見る(聞く)のが理想ではあるけれど、できれば5.1ch環境で聞いた方がいいということになる。

住んでいるのはトレーラーというのがリアル。
肉体的な障害がアルコール依存症などにつながるのも、そうだろうなと思わせる。







2021年12月に読んだ本

2022年01月02日 | 
読んだ本の数:25
読んだページ数:5860
ナイス数:3

読了日:12月01日 著者:立石 泰則





読了日:12月01日 著者:土田世紀





読了日:12月01日 著者:土田世紀





読了日:12月01日 著者:土田世紀





読了日:12月05日 著者:神山 征二郎





読了日:12月05日 著者:川北 稔





読了日:12月05日 著者:山本 おさむ





読了日:12月05日 著者:山本 おさむ





読了日:12月05日 著者:山本 おさむ





読了日:12月06日 著者:山口和男





読了日:12月08日 著者:池上 俊一





読了日:12月09日 著者:近藤 司,萩野正昭





読了日:12月12日 著者:大杉 栄





読了日:12月13日 著者:ジェーン・スー





読了日:12月14日 著者:永田 和宏





読了日:12月15日 著者:森 達也









とにかく徹底的に言葉にして意見をたたかわせるアメリカと言葉にすることも意思を疎通させることも避ける日本とのあまりの差にめまいがする。国民性の違いなどといって済ませられない、言葉にしない限り、違うということすら「ない」ことになってしまう。 マジョリティと自覚している者はアライally=味方と自覚することでLGBTQ(に限らずマイノリティ)との相対せるという記述にひとつ腑に落ちる。この言葉を頭に置いておこう。
読了日:12月17日 著者:北丸 雄二



読了日:12月18日 著者:大谷アキラ,夏原武,水野光博





読了日:12月19日 著者:平田 弘史





読了日:12月20日 著者:新井 宏










読了日:12月22日 著者:小林 信彦





読了日:12月23日 著者:越智 敏之





読了日:12月29日 著者:ステラ・アドラー





読了日:12月29日 著者:永井 明