prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「友情にSOS」

2022年06月08日 | 映画
Amazonオリジナル。原題は邦題みたいに呑気なものではなく、Emergency(緊急・急患)。

黒人の大学生二人組が近辺で開かれているパーティに全部順繰りに巡ろうというかなりアホな計画を立てるのだが、そこで思いがけず飲みすぎなのかドラッグでもやっているのか意識をなくしている白人女子学生を見つけてしまい、二人のうちマジメな方が緊急通報した方がいいと言うが、もう一人のチャラい方がこんな状況を警察に見られたら黒人男が集団で白人女に悪いことをしていると決めつけられるぞと言い出し、まごまごしているうちにどんどん状況は悪い方へ悪い方へ向かっていく。

警察が黒人にとってははっきり「敵」だという常識の上に作られているので、ラスト近くまで警察の差別意識のひどさは具体的には描かれないので、一人相撲をとっている感じもある。
半ばコメディとして作っているからでもあるけれど、笑うには顔がひきつる感じも強い。

出だしの大学の授業で、白人女性の教員がニガーという言葉をいくら学術的な目的とはいえ連呼するのに主人公たちが抵抗を覚えるあたりの何とも言えないニュアンス。

こういうスタンプラリーみたいに一定地域の各ポイントを巡る話というと、昔の「泳ぐひと」があったなと思う。あれはある地域のプール(つまり富と成功の
象徴)を巡る話だった。運気が上がる(気がする)場所を巡る性向というのはかなり一般的なものなのだろうか。




「整形水」

2022年06月07日 | 映画
容貌にコンプレックスがあってさんざん辛い目にあってきた人が美容整形を受けて人生逆転、みたいな韓国のテレビ番組を日本でもよく流しているけれど、その裏に貼りついているだろうグロテスクぶりをさらけ出した感じ。

アニメなのだれど実際の人間の動きをキャプチャーしたらしく、なまじ「リアル」寄りの分不気味の谷に落ちたような気持ち悪さを生かした。

容貌が十割というホンネをを画にしてみせた感じで、俗っぽさと蛮勇ともに週刊誌的。よくやるなあ。





「犬王」

2022年06月06日 | 映画
琵琶とダンスをフューチャーした、今でいうロックバンドが鎌倉時代の天下をとるが、本当に権力をもっている幕府はそれを許さず潰してしまう、ただしイメージとしては今につながって生きているといった内容。

音楽担当の大友良英はふだん素人相手にあらゆる器具を自由に楽器として扱うといった試みをしていて、そういう音楽と民衆が一体化する高揚感は出ている一方で、ここでは特に琵琶を生かさないで普通のエレキギターの音を響かせているので、正直画面と音が合っていない違和感はある。

松本大洋のキャラクターデザイン、CGでどこまでも空間を引き延ばしていくような感覚、一種ドラッギーともいえるアニメーションならではの魅力はある。





「花と怒涛」

2022年06月05日 | 映画
冒頭、夕焼けの川沿いの堤を行く花嫁行列を小林旭が襲った、と思ったらもう舟に乗って逃げて「一年後」の浅草にとぶ、すごい省略法。

客引き女が川地民夫の袖を引いたと思うより早く川地のマントがまくれ(裏地の赤が目を刺す)隠してあった仕込み杖で女をどんと突きとばすという、殺し屋の凄みを出す一瞬の演出。

カットのつながりがほとんど時空がとぶみたいな鈴木清順独特の演出の一種には違いないのだけれど、まだスピーディーな場面運び、ストーリーテリングの範疇にもあるように思う。

製作は1964年、「関東無宿」と「肉体の門」の間で、すでにいわゆる清順美学が確立されたあとだが、鈴木清順というとどうしてもプログラムピクチャーの中で独自の美学を築いた人という見方になってしまうのだが、プログラムピクチャーが壊滅した現在ではむしろ役者や画面を「格好よく」見せる演出でもあるようにある。
脚本に美術の木村威夫が参加している。




「シン・ウルトラマン」

2022年06月04日 | 映画
ウルトラマンの飛ぶ姿がオリジナルそのまんまだなあと思ったら、エンドタイトルに「飛び人形操演」という職能が出てきた。
CGではなくて人形を飛ばしたということか。あの真っ直ぐ身体を伸ばした姿が格好いいわけで(海外受けもしたらしい)、アナログなところはアナログの良さをむしろ積極的に出したと考えていいか。

紙の広辞苑(だったっけ)とか紙の本の図書室の登場とか、本当に機密を守るのは通信機器を使ってはムリで、直接受け渡ししないといけないといった、アナログ志向がところどころ顔を出す。

オリジナルのシリーズの変身のストックショット(赤をバックに真上から巨大化する、あれ)をクライマックスまでとっておくのが、ニクい。

バルタン星人は出てこないのね。
かなり怪獣・宇宙人のデザインをいじっているので、バルタンみたいに人気があって何度も再登場する度にデザインが悪くなっている轍を踏みたくなかったのか。
正直、元の成田亨の怪獣デザインの完成度の高さからして、いじる必要がどの程度あったのかという疑問は払拭できない。

オリジナルの初回と最終回のつながりと世界観を生かして、意外と(というのも何だが)まともにポジティブな方向を向いている。

室内シーンなど実相寺昭雄風の極端にナメた構図が目立つ。
巨大長澤まさみがネット上でバカに受けるというのは、ありそう。
現実寄りにしたのかどうなのか、政府周辺に完全に男ばかりで長澤まさみにほとんど女性の出番を集中させたのは問題なきにしもあらず。





巨匠ニコラス・レイ教授の「映画の授業」 1 ウィ・キャント・ゴー・ホーム・アゲイン 2 あまり期待するな

2022年06月03日 | 映画
授業の記録かと思ったら全然違う。
第一部は授業の成果の映像の断片をゴダールばりにマルチスクリーンで切り貼りしたもの。
第二部になってかなり通常のドキュメンタリーの体裁に近くなるが、いずれにしても、実際の授業を受けているような錯覚からはおよそ遠い。

ニコラス·レイはれっきとしたハリウッドの商業映画の第一線で活躍していた一方、きわめて独立した個人的な映画の作り手でもあった。
作り手として優秀なのと教え手として優れているのは別だろうが、教え子にジム·ジャームッシュがいるのは有名で、ちょっと顔も出す。



「大河への道」

2022年06月02日 | 映画
伊能忠敬の地図が完成したのが忠敬の死んだ後だってことは知らなかった。
実を言うと、伊能忠敬など大河向けではないかと思っていた。そう思ったのは自分だけではないだろう。
で、偉人伝にするには肝腎な柱が抜けてしまっているのを逆手にとって、地図を完成させた名もなき(本当はあるのだが)従者たちのドラマにした枠ドラマ。

現在のシーンと時代劇のシーンで同じ俳優が二役を演じるのが、かぶっているのとずれているのとが混ざっているのが面白い趣向。

地方公共団体の観光課が観光振興のために大河ドラマに地元の名士を 売り込むというのはいかにもありそうな話。
その今につながる権威主義をあまり批判しないで、なんとなくいい話でまとめている。

北川景子が現在のシーンのスーツ姿のキリッとした姿と、時代劇の場面の婀娜(あだ)っぽい着物姿と両面見せてとても綺麗。 ホクロがある手のアップが大事な役を果たすのだが、その腕が白くて細いのも綺麗。

松山ケンイチの軽薄な市役所員が可笑しい。彼がコミカルな面を見せるのは珍しいので、新鮮だった。





2022年5月に読んだ本

2022年06月01日 | 
読んだ本の数:26
読んだページ数:7189
ナイス数:0

読了日:05月04日 著者:浅羽 通明




読了日:05月04日 著者:太田 省一




読了日:05月04日 著者:菅野 朋子




読了日:05月07日 著者:ロバート エヴァンス




読了日:05月15日 著者:梶原 一騎




読了日:05月18日 著者:楳図かずお




読了日:05月18日 著者:楳図かずお




読了日:05月18日 著者:楳図かずお




読了日:05月18日 著者:楳図かずお




読了日:05月19日 著者:ブレイディ みかこ



読了日:05月21日 著者:井上 ひさし




読了日:05月21日 著者:井上 ひさし




読了日:05月21日 著者:井上 ひさし




読了日:05月22日 著者:若菜 薫




読了日:05月22日 著者:堀江 泰子




読了日:05月23日 著者:二ノ宮知子




読了日:05月24日 著者:伊藤理佐




読了日:05月25日 著者:堤 未果



読了日:05月26日 著者:竹田 青嗣




読了日:05月28日 著者:楳図かずお




読了日:05月28日 著者:楳図かずお




読了日:05月28日 著者:大川ぶくぶ




読了日:05月29日 著者:ジミー・ネルソン




読了日:05月29日 著者:沖野ユイ




読了日:05月29日 著者:沖野ユイ




読了日:05月30日 著者:沖野ユイ