曇り、14度、87%
今の香港に住む人たちは、本当の便利になったと思います。日本の食糧品から日用雑貨にいたるまで、選択肢を持って選べます。30年近く前は、ない物だらけでした。とはいっても欧米諸国に比べれば、不自由が少ない国です。一番大きな理由は、種類は違ってもお米を食べる国であり、醤油を使う国だからだと思います。当時は既にユニー、ジャスコの日系スーパーもあり、まだ、大丸が健在でした。その大丸ですら醤油は2種類お味噌も2種類、香港に住んでいる日本人家庭は、みな似たり寄ったりの味のものを食べていたのかもしれません。しかも、その大丸で食糧品を全て調達するのはそれはリッチな方達で、我が家などは日本から家財道具が着いた辺から、地元の市場通いが始まりました。お肉や魚は兎も角、お野菜は同じ野菜とは思えない物ばかり、筋張った大根、巨大な人参にキュウリ、いくら煮ても柔らかくならないジャガイモ。今では、日本からの種を使ったりでそんなお野菜は無くなりました。
とても便利になった香港ですが、やはり、ない物があります。あっても入ってくる量が少なかったり。柚子もそのひとつ。柚子なしのお正月料理なんて当たり前になっていました。12月の下旬に出張で日本に帰った主人が、柚子を買って来てくれました。2個です。お正月の料理に使い、果汁も搾り、皮も薄切りにして冷凍庫に、残った惨めな柚子だってもったいない、そこで、随分と遅ればせな柚子湯にしました。
昨年の冬至の日、お風呂一杯に浮かぶ柚子を見て、あー、羨ましいなーと思いました。でも、皮もまだらなこの柚子たち、我が家の湯船でいい香りを放ってくれました。 柚子のアロマなどとは違った幸せです。最後の最後までありがとう。