晴れ、17度、55%
香港に来て30年近くなりますが、お屠蘇をいただなくなって随分経ったように思います。日本酒はいただくのですが、屠蘇散など香港では売っていません。こちらに来た当初は、両方の実家から年末ともなると荷物が届きます。今ほど速く着くわけでもなく、時には迷子になりながら届いた荷物の中には、屠蘇散が入っていることもありました。今では、両親たちは歳をとり、荷物を送ってくれることなど出来なくなりました。
年末に受け取った小包を開けると、中には、京都北野天満宮の屠蘇、大福梅、注連縄の形をしたお守りが丁寧に入っていました。
天満宮といえば、私たち福岡の人間にも馴染み深い神社です。太宰府天満宮、やはり北野天満宮同様、菅原道真ゆかりの神社です。もちろんこの梅の紋も全く同じ、荷物の嬉しさと懐かしさで、しばらく見入ったほどでした。
元旦にいただくという大福梅、無病息災を願うお茶だとは聞知っていたものの、頂戴するのは初めてのことです。お屠蘇にも、やはり、一年の健康厄払いの意味があるといいます。注連縄のお守りと3つで、何やら心丈夫な年明けを迎えました。大福梅の封には、 うらじろと梅の花を象るように6粒の梅が入っています。うらじろがなんとも奥床しさを添えています。
お屠蘇と言うと、実家では三十日の晩からみりんとともにお酒に漬けられていました。あの杉木立の中にいるような気持ちを興してくれる匂いは、体の隅々まで清められるような思いです。我が家のお屠蘇の酒器は、義父が俳句で太宰府天満宮よりいただいた、 杯を譲り受けて使っています。今年は梅の紋尽くしです。我が家の紋も梅に丸鉢。
うっかりして、元旦一番にいただくはずの大福梅を飲んだのは、 3日の朝のことです。まあ、三が日ですからご利益があるはずです。
親しい方からのお心遣いで、我が家は今年も気持ちよく年明けを迎えました。ありがとうございます。