雨、8度、99%
ここ香港では、乳製品はほとんどが輸入物です。まず牧場はありません。加工工場はありますが、元となる牛乳は輸入されています。バター、チーズは、全て輸入されています。普通のスーパーですらオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、フランスのバターが手に入ります。
昨年末、お菓子用の無塩のバターを求めに近くのスーパーに行きました。フランスのものをいつもは使っています。季節柄、売り切れていて、良く似たパッケージのベルギー産のバターがありました。ベルギーはフランスのお隣、値段も変わらないので、なんの気遣いもなくベルギーの無塩バターを買い求めました。クリスマスやお正月に何かと洋菓子作りに使います。普通のケーキを焼いた時に、強い乳臭い匂いがしました。乳臭い匂いは嫌いではありませんが、少しきつく感じます。焼き菓子ですから焼けば匂いが飛ぶかと思っていると、なんだかまだ匂うようです。加熱しなければ匂わないだろうと、バタークリームに使いました。やはり私は、微かに匂いを感じます。主人に尋ねますが、あまり気にならないようです。しかも、無塩と書いてあるのに、バタークリームに塩気すらあります。実は、こんなこと以前にはよくありました。昔の香港のバターはオーストラリアとにニュージーランドのものだけで、品質のばらつきが大きかったのです。日本では、乳臭いバターなんて考えられないかもしれません。日本のバターは、色も香りももちろん味も、清廉潔白のようなバターです。
カルピスバターが香港に入って来たのは、10年程前、日系のちょっと高級なスーパーで売られ始めました。ちょうど同じ頃、フランスのエシレバターも入ってきました。エシレバターを待ちこがれていた私は、迷わずエシレバターを買いました。エシレバターをご存知の方は解っていただけると思いますが、こくが違います。こくがあるのに、食べた後にくどさが残らないバターです。しかも、カルピスバターは超が付く程お高いのに、エシレバターはさほど高くもありません。箱入りのカルピスバターの話を主人にすると、即座に日本製品贔屓の彼は買って来なさいとおっしゃいました。厳かに箱入りのカルピスバターが我が家の食卓に、ポプラのかごに入ったエシレバターと並びました。もちろん主人はエシレバターなどより遥かにおいいしいと絶賛です。カルピスバター、確かに美味しい。そこはかとないあっさりとした旨味があります。私だって、これは日本のバターの極みだと思った程です。でも、高すぎます。残念なことに、売れなかったカルピスバターは香港のスーパーから姿を消してしまいました。日本のバターでは小岩井や雪印が売られています。
中年の夫婦2人にしては、バターの消費量が多い我が家です。 いま冷蔵庫には、この3種類のバターがあります。左下のフランスのものはお菓子用で、ストックとして4本。缶入りのニュージーランドのものは頂き物です。カルピスバターは主人が先日、日本より持ち帰ってきました。ちょうど、エシレバターを使い切ったところです。日本では最近、発酵バターが美味しいと聞きます。ホイップされた軽いバターも出ているようですね。バターは、そのままパンに付けて、料理にお菓子作りに、それぞれの用途があると思いますが、こんなバターひとつとっても、お国柄があるように思います。日本にいた頃は、小岩井バターの瓶入りを大事にパンに塗っていました。当時の我が家にとって、それは贅沢なことでした。よつばバターが美味しかった記憶もあります。
何かで読んだことですが、このカルピスバター、箱に入っていないものがあるそうです。もちろんバターは変わりませんがお値段が少しお安いらしい、バターのケースの前で探しますが、まだ、箱なしカルピスバターを見たことはありません。