曇り、17度、85%
私の福岡への帰国の大きな目的は、2つ。両親の細々した雑用を片付けること、なにぶんにも長男の嫁、私自身一人っ子ですから、この仕事は避けて通れません。年老いた者たちの生活を見ていると、いずれ来る自分の先を考えさせられて、とてもいい勉強になります。あと一つが、昨年、改築を決めた私の実家の様子を見るためです。正式にお願いして、そろそろ10ヶ月程になります。屋根の工事も一段落、そろそろ、家の中のこまいことを決める段階にきました。先日の帰国は、予めシステムキッチン、ガス器具の下見を予定して出かけました。ウェッブで見るのと実際に見るのでは大違いです。
システムキッチンなるものが日本に繁殖し始めて、さて、30年程でしょうか?香港に来る前に、ある日本のメーカーでとても感じのいいシステムキッチンを作っているところがありました。いつか自分の台所は、あのメーカーのシステムキッチンをと思っていた私です。さて、やっとその望みが叶うとばかりに、勇んでショールームに足を運びました。自分のキッチンです。生まれて初めて、私のために使えるキッチンです。
ショールームは、今、主流の対面式を中心に展示されています。私は、一列タイプの壁付け式を探しています。私の特技は、どんな狭い台所でも、自分なり使いこなして来たことだと思っています。大きな調理台、アイランド式のキッチン、若い頃は不服もありました、大きなキッチンが欲しいとも思いました。でも、この年になって思うには、小さなキッチンでも充分に料理は作れるということです。私の作る料理の幅も自分なりに把握しています。憧れていたメーカーのシステムキッチンは、整然としていますが、以前のような輝きを持って私に迫ってはきません。もちろん、お値段は結構なものです。特別びっくりするような仕掛けを希望しているのではありません。私らしいと思えるドシンとしたものを求めているようです。
そこで、昔から流しのメーカーとして有名なシステムキッチンのショールームへと、足を運びました。あまり期待はしていませんでしたが、子供の頃、母が家の台所にこのメーカーの流しが来た時に喜んでいた様子が記憶にあります。もちろんここも、主流は対面式キッチンです。はっきりいって、機能や使い易さを考えた設計は、両者ともさほど差がないと思われます。システムキッチンですからあらゆるパーツを組み立てて、好みの台所を作るわけです。値段帯も2つのメーカーはさして変わりばえしません。ところが、私は以前の流しのメーカーのシステムキッチンの方がよく思えます。
この1週間、そのわけを考えました。まだ、断言出来るまでには至りませんが、流しメーカーの方が、私にとっては普通に感じます。普通の台所を、普通に使い易く、それを当たり前に作っているように感じます。シンクの色はピンが売れ筋です、と言われても、シンクに色がついていることが何なの?と思います。食器洗浄乾燥器は大型ですから、食器棚がいりません、と言われた時には、びっくりしました。ピンクの流しは、明るい台所になるでしょうが、私には不要です。食器洗浄乾燥機も私には不要です。アシストしてくださった女性のことを言ってるのではありません。私は欲しいのは、その前に立って料理をする私が、いかに都合がいいかだけです。もちろん、台所に入って、そのシステムキッチンの扉の色にホッとするものがあれば、満足です。
さあ、私の台所考、まだまだ続きそうです。