曇り、8度、70%
46年前の今日、父は逝きました。私は中学の一年でした。今日と同じように、いえ、もっと寒かったと記憶しています。今、私がキーを打っているこの部屋で逝きました。癌でしたが、自宅療養、かかりつけの先生が一日2回訪ねてくださいました。病院で逝く方が多い昨今、考えれば自宅のベット上で亡くなる事が出来た父は幸せだったと思います。
眠り込んでいた私が母に起こされたのは、早朝4時前でした。父の様子がおかしいと言います。母はそのまま、かかりつけの先生に電話をかけに別の部屋に行きました。父の横にいたのは、私です。父はもう目も開けませんでした。大きく深呼吸をしたかと思うと心臓の音が大きく聞こえました。初めてそんなに大きな心臓の音を聞きました。ほんの短い時間のことでしょうが、そのまま、眠りにつきました。母が部屋に戻って来た時には、父はもう逝っていました。不思議にこんな年月がたった今でも、父の胸が大きく2,3回波打つように上下した様子を覚えています。父、47歳でした。
このひと月ほど、お寺さんと法要のことでお話しする機会がありました。皆さん長生きなさるようになって、四十七回忌を子供の代ですることは珍しくなったそうです。もう10歳も父より長生きしている私です。父を最期まで看病した母も逝きました。
父母が残してくれたこの家、主人のおかげで家は改築され、徐々に家らしい姿になって来ました。高い天井を見上げていると、父や母の声がこだまして来そうに思います。二人の気持ちがこの家に残っているかのようです。
父が逝った朝4時20分、この家で目が覚めました。香りのある花が好きだった父に一番好きだった水仙を探しました。白い普通の水仙。見つからなかったので、百合にしました。開いてくれるときっと香りが上ります。