チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「黄瀬戸福文字鉢」

2017年02月12日 | 日々のこと

曇り、4度、61%

 黄瀬戸という瀬戸の焼き物があります。字のごとく黄色、鉄釉による自然な枯れた黄色の地に銅釉の緑がアクセントで入る焼き物です。この黄瀬戸の鉢を欲しいと思い始めてもう随分経ちました。黄瀬戸との出会いは、各務周海という作家のものでした。図録で見たその黄瀬戸の鉢には旬の筍が盛られていました。以来、黄瀬戸の鉢が欲しいと思います。人に言ったこともありません。主人からはもうこれ以上器を増やさないように言われています。我が家の器は、私の小さなお財布をやりくりして、40年近くかけて集めたものです。大したものはありません。私が好きなものばかりです。各務周海は数年前に他界してしまい、年々、作品の値段は上がります。とても買えたものではありません。黄瀬戸といっても、その黄色の具合、緑の入り方、作る方のよって随分違います。想うものに出会えないままでした。

 昨日届いた小包、荷を解くと中から出てきたのは、「黄瀬戸福文字鉢」でした。この鉢を持ったままストンと床に腰をつきました。まさに私が欲しかった黄瀬戸です。黄瀬戸は多くは茶碗やぐい飲みに見られます。鉢は珍しい。大きさといい、黄色の具合後いいその上、中には福の字が刻まれています。この鉢、我が家の「転居祝い」に贈ってくださったものです。

 「転居祝い」もうしばらくこの言葉を忘れていました。「新築祝い」ならまだしも、以前は「転居祝い」もあったものだと思い出します。日本を長く離れていましたから、こういう風習にも疎くなっています。私ばかりでなく、世の中「転居祝い」をする習慣は少なくなったのではないでしょうか。しかも、引越しの荷物も入って家の中が落ち着いた頃にやってきた「転居祝い」です。

 この若い友人にはいつも教えていただくことがたくさんです。私とモモが帰国したのは節分、この家に帰ったのは立春でした。家に着いた日に届いたの節分のお菓子でした。 心遣い、そのタイミング、ひとまわり以上年上の私ですら真似ができません。福は内のお菓子は引越しの荷を開ける間中、私のお茶のお供でした。行き届くそんな言葉が頭に浮かびます。

 黄色の器は和食器には少ないものですが、黄色のお醤油皿、大きめの鉢一つで食卓にメリハリができます。私の持つ器は暗い色のものが多いので、華やかさをもらいます。もう一つ、この器は彼女の自作です。さて、初めは何を盛りましょう。春先の筍を待とうか、お饅頭もいいなあ。この「黄瀬戸福文字鉢」の居場所を決めてやるのが、私の仕事です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする