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曇、23度、90%
主人の実家はすでに人が住まなくなって2年以上になりました。郵便物の点検などに週一回は覗きに行きます。梅雨なのに雨が降らない日が続いていました。でも急に家の匂いが「ぬかみそ」臭く感じます。保存食でも腐り始めたのかと、点検し始めました。私は嫁の身ですから、戸棚や箪笥を開けるのに何か後ろめたさを感じます。何時かこの荷物の整理をするのはきっと私の仕事になるでしょう。
戸棚を開けていると、「あら?」と思うものが目に留まります。私が香港から送ったものです。義母が体調を崩したのは20年近く前でした。以来「霊芝」が体の良いと月一度「霊芝」を送りました。香港でもお値段がいい「霊芝」です。送る前に「まだある?」と尋ねると決まって「もう全部飲んじゃった。」と義母の返事でした。「霊芝」と一緒に中国茶やお菓子も入れました。その「霊芝」が山のように棚の奥に仕舞われています。昔の人だから蓄えていたのかもしれません。匂いの元を探っているうちに、懐かしい缶が出てきました。「ライチの紅茶」です。缶を振ると茶っ葉の音がしています。
「ライチの紅茶」は義母のお気に入りでした。「朝飲むと声の出がいいよ。」と言っていたのを思い出します。「ライチの紅茶」はどこにでもある紅茶ではありませんでした。中国茶ですが紅茶です。ほのかな「ライチ」の香りと微かな甘さのあるお茶です。何時も買う店も決まっていました。懐かしさから家に持ち帰りました。
賞味期限は2006年、ということはこの紅茶を送ったのはそれより2、3年前のことでしょう。お店の棚から取り出した私の手のひらにまた戻ってきました。葉っぱを匂うとと「ライチ」の香りがどこかに感じます。お湯を沸かして入れてみました。 古いお茶です。香りも味も「ライチの紅茶」の残像だけです。一口で捨てました。この紅茶の葉は捨てません。「燻製」に使うため貯めておきます。
デザインが昔の香港のままです。美しい女性の絵は有名な「月餅」の店の缶にも使われていました。「マカオ」土産のドライフルーツの紙箱もこのようなデザインでした。やはり中国製ですから締まりの悪い缶です。
ちょうど今頃「ライチ」の季節です。「タイ」からまず入って来ます。そしていよいよお隣「深圳」から大量に運び込まれます。市場に並ぶ大きな竹かごが目に浮かびます。一つの缶がたくさんの香港の思い出を呼び戻してくれました。
政治形態は変わっても庶民の生活は変化ないのかしら。
古き良き香港は真奈さんの心の中にずっと在りますね。
香港時代の友人と中国っぽいデザインの話で盛り上がりました!