曇、13度、86%
一年以上ぶりに映画を観に行きました。中国映画「春江水暖」です。この一年、たくさんの新しい映画を観逃しています。お家で「プライムビデオ」ばかり観て過ごしました。もう、映画館に行くのもいいかな?というよりこの「春江水暖」をどうしても観たいそう思って出かけました。
30代初めの若い監督の映画です。初めての映画作品だそうです。話は中国杭州「富陽」の一家の話です。どこの家でもある普通の話を変わり行く「富陽」の街と変わらない「富陽」の街の自然を映し出したものです。「どうしても観たい。」おそらくこの「富陽」の景色を観たかったのかもしれません。
杭州「富陽」は実在する街、監督の出身地でもあります。中国は北から南にかけて大河の流れる周りに大都市があります。上海より南、杭州にほど近い「富陽」は「富春江」が流れています。中国の川は日本の川とは比較にならないほど海に近づけば近づくほど対岸が見えないくらいの大きさです。
話は四人息子の家族、それぞれの家庭事情が母親の病気、認知症を発端に進みます。日本でも同じ様な話はたくさんです。レストランを経営する長男、漁師の次男、障害児を抱える三男、結婚もしない四男。長男の娘の結婚話が顔を出します。年寄り世代、その子供の世代、孫の世代と世界観の違いもこれまた日本の現代と同じものです。
話の筋より、「山水画」を下敷きに考えられた映像の美しさがこの映画の見所です。川を映す、山を映す、季節を映す、2年近くかけて撮影された「富陽」の自然の美しさです。新しく建設された建物も見られます。滔々と流れる川は歴史、人の営みを見続けてきた証です。
3時間近い映画です。とっぷりとこの景色の美しさを堪能できます。私は「富陽」の街とよく訪れた「深圳」の街の近代化を重ね合わせていました。世界中、人の生活の基本は変わりません、悩むこと喜ぶこと悲しむこと。
私の心の奥に「香港」への懐かしさが湧き上がってきました。出演する人たちはほとんどが素人だそうです。監督の故郷「富陽」への思いがこの映画の基盤に流れて私たちを強く動かしていると感じました。
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