雨、24度、96%
日本にいれば、醤油ひとつで困ることもありません。スーパーに行けばよりどりみどり、地元のものから何やら銘打ったお高いもの全国ブランドまで揃います。30年近く前の香港、日系のデパート、スーパーに売られていた醤油はキッコーマンの普通のタイプのみでした。いえ、日本でも丸大豆醤油が出る前の話です。香港に来たばかりで、日本と値段を比較するとかなり高価です。日本ではキッコーマンの醤油を使っていませんでした。さて、選択肢はないものか?もちろん中國ですからたくさんの醤油があります。中華料理に使うのなら、地元の醤油で充分ですが、いざ、普通の日本のおかずとなると、深みやこくのないこちらの醤油では味が落ち着きません。そんな時、市場の大きな食料品店、飲食店に油や調味料もおろしている店先に見つけたのがシンガポール産のキッコーマン醤油でした。1.5リットル入りの大きなボトル、お値段は日本産に比べて、随分とお安かったように記憶しています。このシンガポールのキッコーマンには随分長くお世話になりました。
ある時、アメリカからのものばかりをバルクで売るお店が出来ました。日用品から缶詰まで、大きさは日本人の私たちには、多すぎる大きすぎる量です。そこで見つけたのが、アメリカ産のキッコーマン醤油。 2,25リットル入りです。アメリカでも寿司ブーム豆腐ブームとともに醤油が浸透しています。キッコーマンは醤油の代名詞にまでなっているそうです。お値段は、日本のものとさして変わりありません。シンガポール産からアメリカ産キッコーマン醤油に乗り換えました。はっきり、ビックリするくらい美味しい醤油です。まろみがあります。この醤油にも随分お世話になりました。
香港20年ほど前から徐々に寿司ブームが始まります。最初は例の回転寿しでした。流行ると、スーパーの陳列台にも、寿司が並びます。サーモンがメインで。わさび抜きで売られていますが、瞬く間に寿司は香港に蔓延してしまいました。それに伴って、地元のスーパーの醤油の棚には刺身醤油が並びます。あのちょっと甘めの醤油をつけないと、香港人は生魚を食べることが出来ないようです。いい醤油に柑橘物の汁を数滴垂らしたようなものでは、心もとないのかもしれません。それと同時に、中國製の食品の安全が問われるようになると、一番信頼が置けるものは日本製となるのです。醤油だって、日本製は一番と香港人ばかりか中国の人までおっしゃいます。今では我が家から歩いて3分のスーパーにも、日本製キッコーマン醤油が並んでいます。
日系のスーパーにも、日本全国の醤油が入ってき始めました。大分の臼杵にあるフンドーキンの醤油が私は好きです。随分お高いものでしたが、夫婦二人たくさん使うものではありません、奮発して買っていました。でも、きっと人気がなかったのかお店の棚から消えてしまいました。がっかりしてはいられません、必需品ですから。その頃、主人が減塩を勧められました。迷わずに、キッコーマンの減塩醤油に代えました。でも、美味しくないのです減塩醤油は、そこで、鰹節の小さな塊を5,6個入れてみました。2日目ごろから味が柔らかくなります。料理屋さんでは、削り鰹と一度煮立てて、漉して使うのだそうですが、煮立てたり漉すのが面倒です。手抜きで、鰹節の塊を入れています。
中國は大変な食糧品の高騰だそうです。中國と境を接する香港の新界の大きな町、たとえば上水や元朗などの街は、以前は週日の昼間は、年寄りと子供しかいない街でした。最近は、中國からの買い物客ばかりが歩いています。大きなコロの付いた空の鞄をひいて中國からやって来ます。お目当ての赤ちゃんのミルク、日常品を鞄が破裂しそうに詰めて帰って行きます。そんな、国境の街を歩いて目に留ったのが、日本のキッコーマン醤油が薬屋の店先で売られていることです。「日本原装」と書かれています。つまり日本で元詰めされた商品、安心ですよ、という意味です。買う方は5本ほど荷物に入れています。
田舎屋の壁には キッコーマンのマークが張られるほど、日本の醤油の代表格です。食の安全で日本のもの選んでもらえるのは、日本人としてはうれしい限りです。