晴れ、15度、80%
中華料理のセティングには必ずお箸と一緒に「散蓮華」が出されます。ファーストフードに行っても、プラスティックで出来た「散蓮華」とお箸です。当然のように中国の影響や華僑が多い国に行くと同じ習慣があります。日本でも蓮華と言っておうどんやラーメンに出されるあのお匙です。
この散り蓮華、スープを飲んだり、あんかけをうまく掬ったり、炒飯の時には大活躍。そんなわけで、我が家の食卓にはこの「散蓮華」がよく登場します。ところが、日本の蓮華と中国のものではどうも使い易さが違います。使いやすさというより口に運んだ時の口当たりです。中国の景徳鎮のほたる焼きの「散蓮華」でもここ香港では、HKD8(日本円で120円ぐらい)で手に入るお安いものです。そんなものでも日本のものと比べると口にやさしく感じます。
引越しの荷物を出してしまって、主人に残した食器でご飯を調えます。あら、やってしまいました。「散蓮華」を全部荷物に詰めたのです。まあ、お安いものですから買えばいいのですが、ありふれた景徳鎮ではつまりません。我が家の下のハリウッドロードには以前はたくさんの骨董を売る店がありました。お高い物には手が出ませんが、私のお財布で買えるものを少しづつ買い集めたものです。数少なくなったお店を覗いても、手頃な「散蓮華」が見つかりません。荒物屋さんの店の奥に埃をかぶった古い「散蓮華」を見つけました。機械の絵付けなのに絵柄がずれています。紺の色もまちまち。並べてみると、形もまちまち。10本あった中から3本選びました。
日本の物と使い勝手の違いは、ちょっと首をかしげたような匙の形です。プラスティックのものは、日本と同じような真っ直ぐな形ですが、量産されているこの手の「散蓮華」どれも首をかしげています。このかしげ具合が口当たりを良くしています。これは普通のサイズですが、スープを取り分ける大きな「散蓮華」、辛子などを取り分ける小さな「散蓮華」サイズもいくつかあります。
日本に向かっている荷物に入っている私の「散蓮華」、小ぶりな物には海老真薯を乗せて蒸すこともあれば、おしるこに添えることもあります。おそうめんの薬味をそれぞれに入れても楽しいものです。
日本でも100円から200円程度で手に入るそうです。黄色や赤の色の濃いものは染料に鉛などが入っていて危険ですから、染付けのものをお勧めします。中国の食文化に欠かせない「散り蓮華」です。口当たりの違いを試してみてください。