チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

塩昆布と昆布の佃煮

2017年01月09日 | 日々のこと

曇り、20度、81%

 亡くなった母は、「小倉屋のえびすめ」を頂くとその薄い木箱を大事にしまって、大事に塩の吹いた昆布を食べていました。あまり大事に食べるものですから、母がいないときにこっそりつまみ食いをします。ちっとも美味しくない、塩っぱいでけでした。まだ、デパートの地下に全国の有名店が出る前の話です。大阪からの土産物の「小倉屋のえびすめ」は、福岡に住む母にとって貴重な品だったと思います。

 塩の吹いた昆布が「塩昆布」、甘辛くお醤油で炊いたのが「昆布の佃煮」とばっかり思っていたら、このところ頂戴する「塩昆布」を開けてみると中からは昆布を甘辛く炊いたものが出てきます。私が思う昆布の佃煮です。見た目も食感も明らかに違う二つの「塩昆布」は作り方だった違うはずです。どうも地方によって呼び方が違うようです。

 「小倉屋のえびすめ」のような昆布は塩吹き昆布というのが正しいそうです。真四角に切られた昆布に細かい塩が吹いているものが整然と薄い木箱の並んでいる様は、見た目も貴重なものに思えます。この塩吹き昆布、炊きたての真っ白いご飯にそっと埋めてちょっと時間を置いてからご飯と一緒に口に運びます。塩気は和らぎ、昆布の甘み、香りが白いご飯にほんのりと移ります。

 昆布の佃煮は、関西風と関東風があります。関東風のものはややお醤油の味が勝っているように感じます。そして関西風は粒山椒の量が違います。塩吹き昆布と違って、味を含んでふっくらとした昆布の佃煮は歯ごたえがよく、噛むほどに深い昆布の甘みが出てきます。そして時々粒山椒がアクセントになります。私はこの昆布の佃煮はご飯と一緒に食べません。お茶請けです。昆布の甘みと山椒の清々しさと一杯のの緑茶は口の中で絶妙なバランスを保ってくれます。

 塩吹き昆布を一枚一枚、ご飯の中に埋め込む、昆布の佃煮を満足行くまで口に頬張る、どちらも昆布の粋を頂戴しています。小さい頃、母の塩昆布を盗み食いしていた私が、本当に塩昆布が美味しいと思うようになったのはおそらく40を越してからでしょうか。今年一番の頂き物は、関西の昆布の佃煮「塩昆布」でした。たっぷり送ってくださったのに、お茶請けでパクパク贅沢にいただいています。昆布の旨味を知る日本に生まれて良かったと思うひとときです。

 

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