夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『トスカーナの休日』

2004年12月06日 | 映画(た行)
『トスカーナの休日』(原題:Under the Tuscan Sun)
監督:オードリー・ウェルズ
出演:ダイアン・レイン,サンドラ・オー,ヴィンセント・リオッタ,ラウル・ボヴァ他

映画の出来としてはまったく普通だけど、
本筋とは関係ない部分で楽しめる作品もあります。

サンフランシスコ在住の女性作家フランシス。
ある日、夫の不倫を知り、離婚することに。
フランシスは自分の持ち家を夫に明け渡す。

落ち込むフランシスに、
親友パティはイタリア旅行を勧める。

フランシスは旅先の村で見かけた、
築300年の屋敷に運命を感じて衝動買い。
こうして、“ブラマソーレ(=太陽に憧れる)”と呼ばれるその屋敷で
彼女の新生活が始まる。

映画としては無難も無難。
女性客の共感を得てそこそこ満足させる程度でしょう。
しかし、のっけからいろいろな発見があります。

まず、離婚の慰謝料。
フランシスの夫はヒモ同然で、彼女の稼ぎで生活が成り立っていました。
その夫の浮気が原因なのに、慰謝料は彼女が払わなあかんとは。
カリフォルニアの州法では、収入のない配偶者と離婚する場合、
相手が自活できるまでの費用を保障する義務があるそうな。
つまりは手切れ金代わりに、彼女の夫は「家、くれ!」とヌケヌケと言えたわけです。

さらに、映画の「20分ルール」
トスカーナで“ブラマソーレ”を見つけるのが、映画開始後きっかり20分。

トスカーナでは、信号の青=進め。黄=飾り。赤=注意しろ。
大阪よりスゴいかも。

料理の守護神は聖ロレンツォ。
料理する相手がいないと嘆くフランシスに、
不動産屋のニーノがこの神の人形を贈ります。
火あぶりの刑でこんがり焼かれて殉教したシェフの守り神。
彼に祈れば料理する相手が見つかると。

家を買えばもれなく付いてくるオリーブの木。
その収穫の様子も実に楽しげ。
濡れたオリーブは摘んではいけない。

フランシスを口説いた男性が話す、おいしいリキュール、レモンチェッロの作り方。
ちょうどこの映画を観た日に訪れたイタリア料理店で、
偶然レモンチェッロを出していただきました。
クリームを配合したレモンチェッロも初めていただきましたが、
これがその日の前菜、帆立の貝柱に添えられた濃厚なクリームソースと絶妙でした。
ソースとともに、舌の上で雪のように溶けてゆきます。

映画はいたって普通でも、楽しさいっぱい。お腹いっぱい。
ごちそうさまでした!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする