夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

最近、ちょっぴり和んだ本(その2)

2013年05月07日 | 映画(番外編:映画と読み物)
その1はこちら

もうひとり、最近お気に入りになった女性作家が宮下奈都(みやしたなつ)。
たいてい、何かしらの理由で心に傷を負っている女子高生やOLが主人公。
まわりには優しい人がいて、毒々しい感じはいっさいありません。
前述の瀧羽麻子とよく似たイメージで、Amazonなどで検索したら、
まずまちがいなく「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と出るでしょう。

最初に読んだのは『よろこびの歌』でした。
著名なヴァイオリニストを母親に持ち、声楽家を志す御木元玲は、
音大附属高校の受験にまさかの失敗、新設女子高の普通科へ。
挫折感を見せたくなくて、同級生とのつきあいを徹底的に避けますが、
彼女の名字から家系が知られるところとなり、
校内合唱コンクールの指揮を引き受けることになってしまいます。

同級生のレベルの低さに愕然とし、やる気のなさに憤る玲。
そんな玲に反感を持つ同級生もいて、合唱コンクールは悲惨な結果に。
けれども、ある場面で玲を励ますために同級生から自然とわきあがる歌声。

玲と同級生、それぞれの視点による7編で構成されています。
人と繋がることの大切さをテーマにしていますが、
ベタベタしていないところがとても良かったです。

いちばん最近読んだのは『太陽のパスタ、豆のスープ』。
こちらは結婚式直前に婚約者から別れを告げられた女性、明日羽(あすわ)が主人公。
立ち直れずにいる彼女に、変わり者の叔母ロッカさんが提案したのは、
“やりたいことリスト”の作成。

ロッカさんほか、幼なじみのでゲイの京、同僚の郁ちゃん、
それにお父さん、お母さん、フリーターのお兄ちゃんがみんなイイ。

傷ついて実家に戻った明日羽が、母親のものらしきイタリア語講座の本を見つけます。
イタリア語って、お母さん、笑わせる……と思いかけて、
ふと、母親が昼間に何をしているのか、何に興味を持っているのか、
ちゃんと話を聞いたこともなかったと気づきます。
なんと親不孝な娘だったのだと明日羽がひとりで考えるシーンにグッ。

無愛想ながら娘のことが心配でたまらないお父さんは、
「何か食べたいものはないか」と明日羽に聞き、
「アイスクリーム」とリクエストされると嬉しそう。
女子としては高いアイス1つが嬉しいのだけれども、
百円アイスを3つも買ってくるのがお父さん。
お母さんの「毎日のごはんがあなたを助ける」という台詞も良ければ、
妹にホットケーキを焼いてくれるお兄ちゃんも○。
この作家の著書に出てくるお料理はどれも美味しそう。

これまたどれも数時間で読めちゃいます。

大事な話、しかもよくない話をされるなら、食事の前と後、
どちらがいいかという話が興味深い。あなたならどっち?

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